プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】プリキュア覚醒をあせる気持ち〜まず深呼吸してね


ハグプリでは、追加メンバーは2人ともプリキュアになりたいと願ってプリキュアになれたという、珍しいパターンである。このプリキュアになりたいという考え方はどういうものだったのだろうか。

なぜあせっていたのか

"自ら望んでプリキュアになってしまった"という、プリキュアの歴史の中でも珍しい2人だが、なぜえみるとルールーは、プリキュア覚醒を焦っていたのか。はな達3人は、"結果として"プリキュアになっているので、そもそもプリキュアに覚醒したいという願望がわくとかわかない以前にプリキュアになってしまった。一方で、えみるとルールーは、プリキュアの活躍を見て、その正体がはなたち3人であることを知った上で、自分たちもそうなりたいと熱望してプリキュアになった。この違いからくる気負いだろう。では、なぜそのような気負いが生じたのだろうか。

①えみるのあせり

えみるは、友達が欲しいという願いはあるが、特にプリキュアになる客観的必然性は無い。実際に覚醒した場面でも、オシマイダー来襲という本来逃げるべき場面で、留まっていたことによるものであり、はな、さあや、ほまれの初期メンバーのように、偶発的に遭遇した(少なくとも本人にとって)から覚醒したものとは異なる。よってはな1人で戦っている状況とはいえ、自分も変身したいという欲求が見られるので、ここで覚醒させなくともよかったはずである。現にほまれの時は、まだエールとアンジュの2人しかいないという体制的に危うい時であるにも関わらず、一度覚醒に失敗している。しかし、えみるはリスクマネジメント能力に優れており、しかもその能力は、クラスメイト等他者の安全のために発揮されるという、プリキュア的献身さを元々持っていた。このためえみるにとってはプリキュアは、"カッコいい"という憧れの気持ちの占める割合が高いが、その憧れは"自分も他者を怪物から救いたい"という、普段からの一貫した行動思想から出たものであり、その意味でプリキュアとなる資格を有する。ただし、えみるはすでに"キュアえみーる"というプリキュアに似せた衣装で既に活動を行なっており、本物のプリキュアになりたいという憧れはあれど、覚醒しなくとも類似の行為は行えており、ニセモノではあるがプリキュアになりたいという欲求をある程度満たされている部分もあると思われる。よってえみるの場合、あせりというより強すぎる願望が表に出て"プリキュアになりたい"と隠しもせず言っているのだと思われる。

②ルールーのあせり

ルールーについては複雑である。ルールーの中ではまず、えみるといつも一緒に行動したいと言う想いが一番強いと思われる。当初は、"トモダチ?"と言われても"違います"と繰り返し否定していたにも関わらず、一度愛情に目覚めてからは、えみるにべったりである。ここでえみるだけプリキュアになってしまうと、自分は蚊帳の外になるのは目に見えているので、自らもプリキュアを目指さなくてはならなくなった。この辺り、保健室のシーン等でかなりルールーの葛藤が見られる。そして、そもそもルールーは、光堕ちしたとはいえ、プリキュアと敵対する側にいた人間(正確にはアンドロイド)である。色々あったとはいえ、その出自を忘れてプリキュアを目指そうと考えることは、こころを獲得した今、なかなかハードルの高いことである。そんな中でも、やはりえみるからは離れたくないという一途な思いで、プリキュアを目指すと公言しているため、えみるに置いていかれるわけにはいかないので、焦りが生じていると思われる。なお、仮に自分の方が早くプリキュアになってしまっても、ルールーがプリキュアを目指すのはエミルあってのことなので、単にえみるが覚醒するのを待ってプリキュア開店休業にすれば良い。そう考えるとプリキュア覚醒競争でえみるの遅れをとることはできないのである。

究極のシチュエーション

…のはずであったが、どちらかが覚醒しないとキュアエールがヤバイという状況になって、なんとプリハートの在庫があと1個という事態が判明する(我々視聴者はこの事実を知っているが、えみるとルールーはここで初めて知る)。ここで、2人の個性が出る。
ルールーは、これまでのえみるの優しさもプリキュアになりたい思いの強さも知っているので、自分がなった方がという打算を忘れて、えみるにプリハートを手にするよう命ずる。一方のえみるは、リスクマネジメントの観点から、体格も劣る自分がプリキュアになるよりも、ルールーが覚醒した方が、この場のリスクを低減できると判断し、自分がなりたいという主観的欲求より客観的リスク評価を優先してルールーに変身せよと命ずる。

ルールーの出した打開策

この打開できなさそうな譲り合いに、すぐさま対応したのはルールーである。えみるを抱きしめ、一緒にプリキュアになりたいと、無茶なことを言う。すぐさま対応したのはよいが、これはこれでリスクを増大させる行為である。ここで両者覚醒に失敗したり、そうでなくても覚醒が遅れるだけでキュアエールが大ピンチ、ひょっとしたら敗北する危険性があるのだから。しかし、プリハートは綺麗に分裂し、両者めでたくプリキュアに覚醒する。もし、プリハートがクライアス社もしくは同時代の製品であったとしたら、ひょっとしたら、ルールーは、プリハートの分裂可能性を知っていたのかもしれないが、描写からはそれは読み取れない。