プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】親の職業とはなたちのなりたいものの関係


ハグプリ初期メンバーの3人については、家族について結構突っ込んだ描写がある。これについて、親の職業と子供のなりたいものの関係をみてみる。

各家庭の家族構成

野乃家は、ママ、パパ、はな、ことりの4人家族。ママはタウン誌の記者。パパはホームセンターの店長。
輝木家は、ママ、祖父母、ほまれの4人家族。ママは工事現場のクレーン運転士。
薬師寺家は、ママ、パパ、さあやの3人家族。ママは大女優。パパはママのサポート。
両親共働き、シングルマザー、主夫(ただし働く妻のサポーターとしての役割も持つ)と、働き方の多様性を見せていると思われる。

親の職業と子供の夢

また、物語としては、親の職業と、子供の夢(ハグプリの場合、"夢"というより、"なんでもできる、なんでもなれる"で表現される何か)の関係にも注目すべきである。

①はなママ

タウン誌の記者。
人間観察眼に優れていると思われる。このため、なりたいもの、なれるものが見つからないはなを、基本的には見守り、何か本当にまずいことになる直前に、抱きしめることで救済する能力がある。これは、記者の仕事で養われた眼ということで、説得力がある。なお、抱きしめの救済は、はなを肯定するためであって、頑張らせるために抱きしめるのではないことがポイントである。
はなママの仕事に対する考え方や、なぜその仕事を選んだのかは、描かれていないので不明。ストーリー的には、はなママがタウン誌の記者であることにより、記事名目で、はなたちが職業体験できるという理由付けができることから与えられた職業であろう。

②はなパパ

ホームセンター"HUG MAN"の店長。
仕事振りは真面目なようである。はなの夢等への教育としては、ルールーホームステイ回で、はながルールーをお客さんとして扱おうとしたところ、家族として扱うべきと気づかせた点に、店長としての行動原理を見せたようにもみえる。

③ほまれママ

クレーン運転士である。
資格の必要な仕事であり、ほまれママは資格取得した上で、この職についている。描写がないので分からないが、この資格、離婚前から持っていたというより、離婚後、取ったのではないだろうか。資格を取ってまでこの職に就いたというのは、クレーン運転士に成りたかったからというより、恐らく安定した収入を得るために選んだと思われる。"なんでもできる、なんでもなれる"というフレーズの裏で、大人は、我が子のそれを実現させてやるために、現実的なな選択をしているのである。基本的に、ほまれママは、ほまれの夢の実現のため、安心してスケートに集中できる環境作りに腐心している。今でこそ、ほまれはスポーツ特待生で、学校所有のスケートリンクがあるから、十分に練習ができるが、それまでは、スケートのトレーニングを受けるために、仕事も仕事の後も、本当に頑張ったはず。ほまれは、この支えを身に染みて感じているから、成果が伴わず、それを重荷に感じた一時期、スケートから離れてしまったのだろう。それでも何も言わなかったほまれママと、第4,5話での、はなの応援(この際、はなは、応援するだけの行為に価値があるのかと悩むことになる)で、またスケートを頑張ろうとしている。
しかし、ほまれママもほまれも、恐らくこのまま行くと不幸になる。ほまれは、仮に能力があったとしても、なりたい自分が、成績を残せるスケーターになることなのかを、立ち止まって考えることなしに、先へ先へと進もうとしているように見える。ほまれママも、ほまれの何年も前の夢が、そのまま変わらず今の夢であるという前提で支援しているようで、危うい感じしかしない。ハグプリだし。特に、ほまれの、第25話でハリーに話した『今はスポーツ特待生で、学校にリンクもあるけど、だからこそ早く試合で結果を出して、安心させてあげたい。私は、私を支えてくれる人のためにも、私のなりたい私になるって決めているんだ』という告白は、深夜アニメだったら非常に危険なフラグ。その夢は本物なのだろうか?
ただし、ほまれママについては、未だにちゃんとした描写がないので、どのような思考の持ち主かは、分からないので、今後の深掘りで、良い方向に行けば良いのだが。

はなの両親、ほまれママと来たら、オリジナルプリキュアのラスト、さあやの両親である。

④さあやママ

大女優である。
第25話。さあやママ、初登場回にして早くも、子育てしながら女性が働くには、周りの理解、サポートと、本人の相当の頑張りがなければ難しいことを提示してくるエピソードの女王となるべきお方。

⑤さあやパパ

さあやママの場合は、さあやパパが、家事の共同は愚か、主夫でさえなく、マネージャー的なところまでべったりサポート(というか、他にマネージャー出てきていないし、昔のさあやママの出演交渉シーンでは、さあやパパ隣に座っていたことから、さあやママのマネージャーが本職の可能性高い)したため、大成したというような描かれ方であった。これは、一見、行き過ぎた設定に見える。女優という職業の特殊性のためとは分かるが、この夫婦の男と女を入れ替えると、旧態依然とした、男は外で働き、女は家を守るという思想と似ているように見えるからだ。ただし、さあやママは、仕事だけでなく、子育ても全力でやるという考えであったので、赤ちゃんのさあやを、撮影現場に連れてくるということをしているし(実質的に保育園付き職場)、さあやパパも、撮影用料理を作ったり、主夫というよりも、やはり、私生活も含めたマネージャーというのが正しいと思われる。仕事で高みを目指す女性とそれをサポートする男性パートナーの関係というところだろう。
さあやの両親は職業人としてはベストカップル
特徴がないのが特徴みたいな、さあやパパの外見だが、芸術面に秀でたさあやママに対して、事務面でまったくソツのない対応ができそうなところがベストカップル(節税対策完璧なんだろーなー)と言えよう。

親の職業を生き方として描くことの意味

このように、ハグプリにおいては、親、特に母親の働き方について、色々な形があることを提示している。働くこともテーマの1つにある本作において、職業体験は直接的にテーマを押し出すものであるが、単発的な話でメッセージ性は低い。逆に、このプリキュアたちの親の職業にまつわる話は、色々な思いがこめられていそう。

《おまけ》

さあやパパの持ってるお弁当用巾着のデザインは、さあやCM出演の"天使のシュワシュワウォーター"インスパイアで、さあやママに供されるとこうなることを計算してるとこがもう、気配りの人。