プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】優しさの描き分け


ハグプリメンバーは全て優しいのだけれど、その優しさがメンバーというか、メンバーグループによってちゃんと描き分けられている。これについて見ていく。

1.受け止める優しさ・見守る優しさ

誰かが苦しい時に、それを受け止め、抱擁する優しさ。はな、さあや、ほまれの優しさがこれに当たる。

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【図1】はな・さあや・ほまれの優しさ(※)

①はなの優しさ

はなには、母親譲りの見守り力、抱きしめ力がある。

えみる初登場回である第9話「丘をこえ行こうよ!レッツ・ラ・ハイキング!」にて、クラスの友達から浮いてしまって一人ぼっちになってしまっているえみるに温かい目で見守っていた。また、第11話「私がなりたいプリキュア!響け!メロディーソード!」においては、自己否定に走るチャラリートに、自分もそうであると寄り添い抱きしめていた。これら見守り、寄り添い、抱きしめは、まさにいじめにあっていた時、変身できないはなを助けるためにはぐたんが力を使って倒れた時、プール回にてはなが一人悩んでいた時に、はなのママがはなに対してしていたことそのままである。はなママは、"やり直せないことはない"という信条をもっていて、これがはなに対する教育にも影響を及ぼしていると思われる。この信条は、第18話「でこぼこコンビ!心のメロディ!」で、光堕ちし、はなママにかけていた催眠術のようなものを解いた際に言ったものである。自分を騙すために催眠術のようなものをかけた相手を許すのに"やり直せないことはない"と声をかけるのはもはや反則レベルである。これを言われたら、言われた側は泣くしかない。しかし、このやり直せないことはないという考えは、別な文脈でも使われていて、はながいじめられていた際に、いじめに立ち向かうのではなく、逃げるという選択肢を与えたのも、この信条から来ていると思われる。"逃げる"というのも、やり直すための前向きな手段の1つというわけだ。これを低年齢の子が見るアニメで描いたのは本当に良いと思う。これらのはなママの優しさが、はなにも受け継がれているように感じる。

②さあやの優しさ

さあやの優しさは、第11話「私がなりたいプリキュア!響け!メロディーソード!」で、はぐたんが倒れたのは自分のせいだと自らを責めるはなを迎えに行き、はなの良さを口に出して伝え、抱擁したことと、第35話「命の輝き!さあやはお医者さん?」における赤ちゃんにママを取られるのではないかと悩むあやちゃんを終始見守っていたエピソードがある。あと、極め付けは、ほまれのハリーへの想いをずっと見守り続けていること。これは徹底して見守ることに徹しているが、ラストに向けて何らかのアクションが出てくると思われる。全てが終わってハリーが未来に帰る際、想いを言わないままのほまれに、さあやが告白せよと背中を押す展開ではないかなと勝手に想像しているが、どうなるのだろうか。

③ほまれの優しさ

優しさという点では、他のハグプリメンバーと比べて分かりづらい。第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」で、クライアス社との戦いに思い詰めるハリーに対し、

無理やりは聞かない。けど、マジでキツイときは、一人で抱え込まないで。それだけは約束して

とゆびきり付きで励ます。"ハリーのことみてるよ、辛いときは受け止めるよ"という想いが伝わってきて良いせりふだ。

あと、さあやと一緒に、第11話「私がなりたいプリキュア!響け!メロディーソード!」で、はぐたんが倒れたのは自分のせいだと自らを責めるはなを迎えに行き、黙って抱擁したこと。ここでは、さあやははなの良いところを言葉にしたのに対し、ほまれは黙って手を広げただ抱きしめるのだった。ここにさあやとほまれの個性が出ているようで良かった。この違いは、さあやが女優でほまれがアスリートということの違いが反映されていると思われるが、よくは分からない。

2.力づける優しさ

誰かが苦しい時に、それを勇気付け、克服するための助力を惜しまない優しさ。えみるとルールーのやさしさがこれに当たる。

①えみるの優しさ

これは何をおいても、第18話「でこぼこコンビ!心のメロディ!」において、心を込めて歌うということがわからずシステムエラーとなったルールーに対し、親友だから隠し事はなしと言い放った強さである。

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【図2】隠し事はなしと言い放つえみる(※)

ルールーがアンドロイドだと知って衝撃を受けた直後のこのせりふは、ルールーの心獲得に大きく寄与したと思われる。もちろん、その後もえみるはルールーに対し親友として接し続け、それによりルールーの心は成長の度合いを増していった。

②ルールーの優しさ

第40話「ルールーのパパ!?アムール、それは…」でドクター・トラウムに対して見せた優しさがルールーの優しさを象徴する。特に、トラウムがルールーの優しさに涙ぐむ際に、自分とえみるのギターをちゃんと聞けと言うシーンは鳥肌ものである。いじめのような理不尽なことからは逃げることも優先順位の高い選択肢だと提示するプリキュアにおいて、娘の成長、優しさを知り、それに感動しつつも気恥ずかしくて逃げようとするトラウムに、逃げずちゃんと娘の成長を見よと言うルールーの心は、もはやそこいらの大人以上である。

さらにルールーは、AI搭載のアンドロイドなので、優しさも日々バージョンアップしているであろうことは注意が必要である。これからラストに向けて、ルールーの成長を続ける心が結果的に自分を苦しめることにならないか危惧する。

3.ハリーとはぐたんの優しさ

ハリーとはぐたんもさにも優しさはあるとは思われるが、二人がプリキュアを利用する真の意図が不明であることから最終戦での言動次第では、目的のために優しいふりをしていたという可能性もある。このため、優しさについては物語を終わりまで見届ける必要がある。万一、ハリーのみでなくはぐたんまで元クライアス社の関係者であるとしたら、ハグプリ全体が、単なる1企業内の権力争いに、人生において貴重な思春期にある小中学生を巻き込んだ最悪の物語となるかもしれない。この場合、戦う相手であるクライアス社よりも、そもそも私的戦いにはなたちを巻き込んだはぐたんとハリーの方が罪が重いと考えることも可能になる。

※:東映アニメーション公式ページより引用
図1http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/episode/summary/11/

図2 http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/episode/summary/18/