今話は、将来的にはルールーが未来に帰ると決心した理由とえみるにかけた言葉が、伏線回収も含めて綺麗に決まった話だった。えみるの顔芸とえみるに代わる代わる声をかける者たちの行動がまた笑えるのと笑えないのとの中間くらいで進行していき、何とも言えないムードを醸し出している。非常に良い回であった。
またまたタイトルにやられる
今話のタイトルは「えみるの夢、ソウルがシャウトするのです!」である。しかしルールーの夢は語られたが、えみるの夢としては何も語られていない。ソウルがシャウトするという言葉も、えみるではなくえみる兄が言っているだけで、えみるは実際にシャウトはしたものの「ソウルがシャウトするのです!」とは今話では言っていないのだ。このタイトル、非常にえみるらしいのだが、えみるは夢を語ることもシャウトするとも言っておらず、ストーリー的にはミスリードなのである。いや、ミスリードではなく意味をもたせているのであろうが、読み解けなかった。
ルールーとえみるの出会いの総括回
この「ソウルがシャウトするのです!」というセリフは、ルールーとえみるが初めて出会った第15話「迷コンビ…?えみるとルールーのとある日」にて、えみるがルールーに語った言葉である。第15話で音楽の素晴らしさをえみるはルールーに解く。初めて音楽というものにふれたルールーは、そこで心を獲得するきっかけを得るのである。そしてそれから時を経て、ラストに近づくこの第41話で、ルールーはえみるに、未来の人々に音楽を伝えることがルールーの夢であると語るのである。これを後出し的に言われると、えみるもルールーも、このまま現在の世界に戻ってくれとは言えなくなるのである。まだ最終回まで2ヶ月あるのにこのエピソードを持ってきたのは、ラストがよほどの展開で長丁場になるのか、この回がキーとなるのか、それとも、最終回に初めてルールーが未来に帰るということにすると、メインターゲットの方々が、えみると同様ショックを受けないよう、予め免疫をつけさせたかないずれかであろう。今話のえみるの顔芸も含め、ハグプリは、極力メインターゲットの方々が、ショックを受けないような気配りがなされているので、ルールーが未来に帰る話を今このタイミングでしたのは、メインターゲットへのやさしさであると考える。
えみる顔芸の理由
ルールーロスを想像して、自ら殻の中に入っていってしまったら、なぜか、猫目・猫口となってしまったえみる。落ち込んだ目を描写するならアニメのテクニック的にはハイライト(黒目の中の白い点)を抜けば良いだけなのだが、それだけでなく、目の形、口の形も変えることで、メインターゲットが映像から受ける恐怖感の軽減を狙ったものと思われる。
前作、『キラキラ☆プリキュアアラモード』では、多くの闇堕ちシーンが描かれており、その場合の目はハイライトが抜かれ、画的に見たまんま怖い表現となっていた。特に第17話「最後の実験!変身できないキュアホイップ!」における、大好きなはずのお菓子作りを落ち込んだ目で行うシーンは、メインターゲットのトラウマを生んだはずである。
【図1】前作における闇落ち中の日常作業(※)
ハグプリでは、このような過去のプリキュアで見られた怖い表現を回避する傾向にあるので、今回もその対応としてえみるの目と口がネコのように描かれたと思われる。この表現も怖いと言えば怖いが、逆に可愛い表現と言えなくもないので、恐らくメインターゲット層には恐怖感の少ない表現なのではないかと思われる。
結局、えみるの夢って…
結局のところ、えみるの夢は直接的には言及されないまま第41話は終わる。いくらなんでも、これはひどいのではないだろうか…と思いきや、そうでもなく、ちゃんとえみるの夢についての回であると考えられるのである。これについてはこちらで考察している。
※:東映アニメーション公式ページより引用
図1 http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure_alamode/episode/summary/17/