プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】時間停止の際、はなが何故自身のイジメを思い出したのか


第23話「最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!」にて、千世ふみと「自分よりデカイ敵に立ち向かうのがかっこいいんだよな」と言っているのを、千世から離れたところでさあやとほまれと聞いた際、はなはいじめられて教室に一人ぼっちとなっていた自分を思い出し顔が一瞬曇る。さらに同じく第23話で、プレジデント・クライに時間を止められ、他のプリキュアどころか、はなまで時間停止していたが、はぐたんのみ時間が停止せず泣き叫ぶ中、肉体は停止すれども意識までは停止していなかったはなが、「大丈夫、はなは間違ってない、もう我慢しなくて良い。はなの未来は無限大」と母親に言われたことを思い出しながら、はなは時間停止を破り、「はぐたんを泣かせるなー」とプレジデント・クライからはぐたんを奪還する。

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【図1】時間停止する中はぐたんを取り戻すはな。時間停止はモノトーンで表現されている(※)

はなは何故はぐたんがプレジデント・クライに引き寄せられた際に、自身のイジメ体験を思い出したのだろうか。

特に意味はないのかもしれない

特に大きな意味はなく、後々にはながいじめられていたことについての回があることをほのめかしただけという捉え方もできなくはないが、はなが時間停止を破るほどの力を得たのだから、もっと説得力のある関係があると思われる。

状況の整理

回想時のはなと、プレジデント・クライに引き寄せられるはぐたんの共通点を整理してみる。
まず、はなは、自らの正義に従って行動したところイジメにあい、クラスで一人ぼっちになってしまった。このままでいると、はなは、このような環境を作ったイジメっ子たちと一緒の空間で本意でない中学生活を過ごさなければならなくなる。一方、はぐたんも、プリキュア達もハリーも意思の疎通が取れない状況にあり、一人ぼっちになってしまった。このままでいると、はぐたんは、このような環境を作ったプレジデント・クライと一緒の時空で本意でない赤ちゃん生活を過ごさなければならなくなる。
また、はなは、母親に抱きしめられ、はなは間違っていないと肯定され、転校し、さあやとほまれに出会い、現在は有意義な中学生活を送っている。一方、はぐたんは、はなに抱きしめられ、はぐたんをいじめるなーと言われ、プレジデント・クライから奪還され、他のプリキュア達を含む人々の時間が動き始め、有意義な赤ちゃん生活を送ることになる。

整理の補足

はなは間違っていないというのは、守るべき相手を肯定することであり、一方、はぐたんをいじめるなーは、危害を加える側への非難である。これは一見異なるようにみえるが、はなは間違っていないというのは、裏を返せばイジメる側が間違っていると非難していることになるので、同じである。このような違いは、はなの場合、非難すべき相手がその場にいないが、はぐたんの場合は、目の前に危害を加える側のプレジデント・クライがいるため生じたものと考えることができる。
以上のように、はなへのいじめとはぐたんがプレジデント・クライに引き寄せられる状況は似ているのである。

共通するのは"逃げ道の提示"

結局、第23話のエピソードは、はなの母親はイジメにあうはなに転校という逃げ道を、はなははぐたんに停止した未来ではなく停止していない現代という逃げ道の提示という点で共通している。

結論

以上から、はぐたんがプレジデント・クライという非難すべき環境にはぐたんが引き寄せられた際に思い出し力を得たのが、はなが自分がイジメにあっていた時に自分の母親がイジメの環境から救い出してくれたことを思い出したのは、母親(はぐたんははなのことを一貫してママと呼んでいる)が、良くない環境にいる娘に対し、環境自体を変えるのではなく、そこから逃げるための別な環境を作ってあげるという点で共通しており、だからこそ、他のプリキュアではなくはなが変身したキュアエールがはぐたんを救うことができたのである。

第23話という意味

第23話辺りは、1年周期のプリキュアにおいては、前期の区切りの回であり、過去のプリキュアでは、この辺りに新しいプリキュアが登場している。ハグプリでは、すでにキュアマシェリとキュアアムールが登場しているので追加プリキュアはないが、それに匹敵するほどの重要回である。そこでこのはなのイジメが出てきたということは、後半にこれが大きな意味を持つことになるのであろうが、これを書いている第42話終了時点では、イジメの話は出てきたが、ハグプリ全体を通じたインパクトあるエピソードにはなっていない。ラストのラストでこれがまたフォーカスされるということがあれば、物語の構成としては非常に美しくなると考える。

(※)東映アニメーション公式ページより引用
図1 http://www.toei-anim.co.jp/tv/precure/episode/summary/23/