プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】危険な身代わり:はぐみははぐたんではない


「HUGっと!プリキュア」最終話が終わった。ハグプリは、異世界から来た妖精によりプリキュアになるのではなく、未来から来た赤ちゃんがプリキュアのカギを握る話であり、ストーリー上、タイムパラドックスは避けられない一方で子供向けエンターテイメントであるという制約上、色々目を瞑るべきことがあるのは、まあ仕方がない。しかし、とはいえそこはなんとかしておいてよということがある。それは、2030年に、はながはぐみを産んだことと、えみるが発注した幼児型ルールーの引き渡しを受けたこと。この2つはともに同じ理由で非常に危うい事象である。

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【図1】はぐみは、はぐみであって誰かの代用ではない(※)

はぐみははぐたんではない

この事実!仮に、元々の世界線ではなが産んだのが、DNA的に本当にはぐたんだったとしても、はぐみは、はなが中二で出会ったはぐたんではない。はぐたんとは別な成長を遂げる、別の1人の人間である。はなは何を追い求めるのかわからないが、はぐみはキュアクリスタルを出すことはできないし、はながピンチになっても救うこともできない。なぜならはぐたんは、一旦キュアトゥモローに成長した少女が再度赤ちゃん化した形態なのだから。その意味で、はなが、はぐみにはぐたんを重ねるのは危険である。自分の子に過度な期待をすることになる可能性が高いから。

幼児型ルールーはルールーではない

えみるが幼児型ルールーを得たこともはぐみのケースと同様である。えみるは中二相当の姿形のルールーに友情を感じていたのであって、これから育てていく必要のある幼児に友情を感じながら共に時間を過ごすことはかなり無理なことであると思える。えみるにとってルールーは、第15話「迷コンビ…?えみるとルールーのとある日」で出会い、第18話「でこぼこコンビ!心のメロディ!」で親友の誓いを立てたルールーであり、自らが成人した2030年に生産された、これから色々教えて行かねばならない幼児型ルールーとは完全に別人である。えみるにある数々の思い出が幼児型ルールーにはないということをえみるは乗り越えられるのだろうか。結局、いなくなったルールーを幼児型ルールーに求め、最終的にそんなことは無理だと分かり、幼児型ルールーを得なかった時より不幸になるリスクが高い。幼児型ルールーもアンドロイドなので、えみるの好みに合わせるように成長するだろうが、それはえみるだけでなく、心も体も成長する高性能なアンドロイドであるルールーにとっても不幸なことである。

未来に帰った本当のはぐたんとルールーはどこにいるのか

再会を誓った本当のはぐたんとルールーには、世界線の関係から会うことはできなくなってしまっているのではないだろうか。それで、はなもえみるも代替を求めてしまうという。これは非常に悲しい結末である。ただし悲しい結末ではあるが、これが現実に生きるということなのかもしれない。その意味で、安易に未来での再会を描くのではなく、言い方は悪いが代替の人で心を満たすというのは、人間的であるし、この世において最愛の人と別れた後、心を癒して別な人を愛することができるようになるというのは、よくある話である。これを幼児に見せるところがハグプリなのだと考えることもできる。

引っかかる謎

2030年のはな出産シーンで違和感を覚えるシーンが2つある。はなの出産時、「この子の名前、決めてるの」と言った時の、さあやとほまれの反応だ。ほまれは「そうなんだ」と言い、さあやは「なんて名前?」と言う。中二時代の思い出があれば、このような反応にはならないのではないだろうか。もう1つは、はなが今まさに出産しようとするシーンに挟まれる、ハリー、リストル、ビシン3匹が小動物形態で微笑んで眠る?シーンがあるかと思えば、ハリーはキュアトゥモローとのシーンもある。キュアトゥモローとのシーンで映るタワーの形が2030年のものと異なり、また、空に新幹線的な乗り物が浮かんでいるので、ここは2030年より更に未来であると分かる。なぜ2030年のシーンに未来のハリーを入れるのか、なぜハリーは小動物形態と人間形態の両方が描かれるのか。これら2つの違和感あるシーンはつまり、異なる世界線の話と理解すべきではないだろうか。出産シーンのはな、さあや、ほまれは、転校はするが、はぐたんやハリーに合わなかった世界の2030年の話と考えれば、さあやほまれの発言の違和感は消える。そして、キュアトゥモローのシーンが更に未来のことであれば、一応矛盾はないが、なぜ2030年のシーンに挟まれたのだろうか。やはりはぐみが成長したのがキュアトゥモローということか。2030年にさりげなく更に未来の話を入れている。これにより、キュアトゥモローが成長したはぐみである可能性を残し、かつハリーの2形態を出産シーンに描くことの矛盾を解消している。この辺りは上手い。しかしそれでも複数世界線の可能性は消えない。タイムパラドックスものの限界だから仕方ないけれど、やはりモヤモヤする。どうせなら、はぐたんを産んだと明示してくれれば良いのに。はなの出産時、「この子の名前、決めてるの」と言った時に、ほまれが「分かるよ!」と言い、さあやは「はぐたんでしょ!」と言えばよかっただけなのに、知らんぷりするからややこしいことになっている。意図的にそう言わせなかったのが怖い。

(※)東映アニメーション公式ページより引用
図1 http://www.toei-anim.co.jp/tv/hugtto_precure/episode/summary/49/