ハグプリで名前の付いている男子モブは、阿万野ひなせ君と千瀬ふみと。苗字に織り込まれた数字が大きいから、阿万野君の方がおいしい役かと思いきや、阿万野くんはなかなか茨の道だった。
この男子2人については、なかなか対照的に描かれているので、整理してみる。
野乃はなへの思い
ひなせ君は野乃はなを力づけることが多かった。そして恋心もあることが表現されていた。一方、ふみとときたら、はなの魅力には全く興味を示していなかった。ただ、キュアエールさん命ではあった。
シャツとネクタイ
中学時代の2人の制服の着こなしは、ひなせ君は、ジャケットの前ボタンこそ開いているものの、シャツインで、ネクタイもちゃんと結んでいる。一方のふみとは、シャツは出すしネクタイはゆるめ。ところがこれが2030年には逆転する。ひなせ君はシャツは出し、ネクタイに至っては着けてさえいない。一方のふみとは、スーツはボタンをちゃんと留めた上にネクタイ着用。ひなせ君が演奏家になり、ふみとがサラリーマンとなったからではあろうが、この対比の意図は何だろう。
オシマイダー発現
ふみとは、2回オシマイダーを発現させている。しかも彼は、第1回と最終回という特別な回にオシマイダーを発現させている。第一回は「内富士先生、なんなんだよ、ちょっと提出遅れただけで締め切り、締め切りって」と言い、「内富士先生、口を開けば締め切り締め切りって、もうオシマイダー」と言っている。なんか締め切りネタで内輪受けの感があるが、ともかく第1回と最終回という特別な回で、しかも同じネタで2回も発現させるとは格別の優遇。一方のひなせ君は、オシマイダー発現0回であり、毎週1回オシマイダーを登場させねばならないハグプリへの貢献度は低い。
個別回の有無
まあ、ひなせ君もふみともモブなので、それほどのメイン回はないが、それでもモブにもプチメイン回はある。ふみとは第34話「名探偵ことり!お姉ちゃんを調査せよ!」でのキュアエールさんファンクラブ活動があった。一方のひなせ君は、ちょくちょく出てきて、美味しそうな役ではあるが、あまりメイン的な回はなく、クローズアップされたと言えるのは、第25話「夏祭りと花火とハリーのヒミツ」ではなに食べかけのりんご飴を渡されて微妙な顔をするところがハイライトか。初期の頃は爽やか好青年風で、はなにもアドバイスしたり、はぐたんを音楽で楽しませたりする、特別な青年という描き方であったので、恋人候補かと思われたが、りんご飴エピソードで、ひなせ君の片想いではなは何とも思ってないパターンだったと判明し、ひなせ君の株はダダ下がりになってしまった。
結局、男子エピソードは何が言いたいのだろうか
シャツとネクタイの話や、オシマイダー発現など、ひなせ君とふみとは対比的に描かれている。これはなんらかの意図を持ってなされているのであろうが、汲み取るのは難しい。古い価値観でこれをみると、昔不良だった子が更生して真面目に働いているというのと、昔から真面目にやってきた子が遂に夢を叶えたということができる。しかし、以上のように見てくると、ふみとは、ハグプリの物語上でかなり優遇されたモブであることは分かる。中二時代はダメ男だったが、大人になってしっかりした感じで描かれており、人間的成長が見られる。
ふみと優遇の結果としてのはなの夫説
2030年に、オフィスで社長であるはなに対し「こら!シャチョー」「しばらく会社休めって言ったよな」とタメ口で言える秘書にふみとはなっている。このシーンは、はなとふみとが夫婦であるようにも見える。はなの出産シーンでは、駆けつけるはなの夫らしき人物の描写があるが、顔が描かれていないので誰だかわからない。しかし、スーツにネクタイで駆けつけていることから、ひなせ君の可能性は低い。それ以外で、登場人物の中ではなの夫を探すなら、ふみと以外に想像ができない(まあ、ジョージ・クライは敢えて外すけれど)。中学時代に優しくしてくれ、一途に音楽に打ち込み、今も音楽を続けるひなせ君ではなく、チャラ男だったふみとが真面目になってはなの結婚相手になったのだとしたら、それはどのような意味を持つのだろうか。ハグプリは何が言いたいのだろうか。千瀬ふみとの優遇ぶりを全く理解できない。何か見落としているのだろうか。