プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【スタプリ】オシマイダー的なものの不在。その意味


「スター☆トゥインクルプリキュア」における敵は、カッパードやテンジョウのような幹部と戦闘員であるノットレイの2種類いる。しかし、「HUGっと!プリキュア」のオシマイダーのような、人間の邪な心や周辺にあったモノ等が怪物化した敵は登場しない。これはプリキュアシリーズとしては「キラキラ☆プリキュアアラモード」以来2度目。

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【図1】オシマイダー的なものの例(※)

ノットレイからみる利己的なスタプリ

スタプリにおいては、オシマイダー的なものの代わりにノットレイという多数の戦闘員がいる。ノットレイは、体格差もあり感情を表すこともあることから、ロボットではなく、生物もしくは生物由来と思われる。第3話で敵幹部がカッパードからテンジョウに代わった際、用兵の巧拙についての言及がある。これはノットレイを個性ある人ではなく駒として考えていることに由来する。敵幹部及びノットレイは軍隊組織における小隊的な規模と体制で目的を持ってプリキュア達に戦いを挑んでいるのである。即ち、スタプリは、目的達成のために毎回自分たちに挑んでくる敵を撃退するために戦っていることになる。ハグプリにおいては、人のトゲトゲした感情を実体化させたオシマイダーが、トゲトゲした感情の赴くままに破壊的活動をしていた。オシマイダーの行為を及ぼす対象は基本的にはプリキュアではないのである。つまり、ハグプリではオシマイダー化した人の心を癒し、エールを送るために毎回戦っていた。オシマイダー化した人の心は個性の塊なのだから撃退するものではない。一方でスタプリでは、敵はプリキュア自体に目的を持って戦いを挑んでいる。スタプリとハグプリは、ともにプリキュアとして戦っているが、戦う相手と戦うことの意味が両者では全く異なる。スタプリの主人公ひかるの性格がハグプリの主人公はなより利己的であるが、毎週出てくる敵についても同様に利己的であることがスタプリの特徴といえる。これは意図的になされていると思われるので、スタプリでは、利己的行為とその対となる献身的行為がテーマである可能性が高い。

ハグプリとスタプリの戦闘の違い

オシマイダー的なものが出ないことは、戦闘シーンにも影響する。ハグプリでは戦う相手はあくまでオシマイダー化してしまうほどの人の心である。一方のスタプリではそれは目的達成のために戦いを挑んでくる小隊である。ゆえにハグプリの戦いは、勝者であるプリキュアが敗者であるオシマイダーを癒すことで終わるのに対し、スタプリの戦いは、プリキュアが兵を蹴散らし、一撃をくらった下級将校が退散するという一般的な戦闘そのものといえる展開となっている。スタプリにおいては、戦闘のコンセプトをスーパー戦隊的なものに近づけているということかもしれない。

意図的なものか偶然か

ノットレイが個々の人格があるにもかかわらず個性を持たない単なる戦闘の駒として扱われることと、主人公ひかるが自分中心の利己的性格であることが、意図されたことなのか偶然なのかは現時点では分からない。しかし、これが前作ハグプリとの全体を流れるトーンの違いを生み出しているし、メインターゲットが子供であるので、教育的観点からも、このままの勢いでひかるが最終回まで自分中心の行動を通すことは無理であろうと考える。すでに第3話でのララとの喧嘩と仲直りでその兆しが出ているともいえるが…。

(※)東映アニメーション公式ページより引用
図1 http://www.toei-anim.co.jp/tv/hugtto_precure/episode/summary/6/