スタートゥインクルプリキュアにおける敵側中ボスのテンジョウは、戦闘員であるノットレイを駒として戦っている。しかし負け続けている。これがなぜなのか検証してみる。
テンジョウの戦法
スタプリでは、プリキュアは、ハグプリにおけるオシマイダー的な巨大な1個体の敵相手ではなく、中ボスに指揮されたノットレイと呼ばれるショッカー的な複数の戦闘員を相手にした戦いとなっている。現在のところ個々のノットレイの戦闘能力に大きな違いはなさそうである。このため、敵側の中ボスであるテンジョウは、戦いの勝敗は用兵の巧拙にあると考えているようである。
反省する敗軍の将兵を語る
テンジョウの初登場は第3話。この時は陣形テングのうちわを用いる。それまでのカッパードの戦いより統率が取れている。これについてテンジョウは「フフッ かわいい駒ちゃんはこうして使うのよ」と語っている。この陣形がキュアスターとキュアミルキーの友情の力で破れると「フフッ 今度はもっと使える駒を用意しないとね フフフ…」と反省している。
第4話もテンジョウの出番。テンジョウは、「守るものが増えればそのぶん注意は散漫、力は分散、弱点になる」と、フワを守るというプリキュアの気持ちを利用した攻撃を取る。しかし新顔のキュアソレイユに「守るものが増えればその分、弱点が増えるって言ってたけどさ、違うよ!守るものがあればあるだけ強くなる、力が湧いてくるんだ!みんなを笑顔にって思うと力が出る!そして、みんなの笑顔が力をくれるの!」という180度違う発想をされてしまう。この逆転の発想のキュアソレイユの登場でテンジョウの思考は混乱し、「一体どうなってる!?とにかくやっておしまい」と言ってしまっている。これは敵を理解できないから取り敢えず戦えということであり、明らかに陣形の放棄であり、故にテンジョウは破れる。この敗戦についてはテンジョウも理解していて「新しいプリキュアが…策を立て直さないとね」と言っている。テンジョウはとりあえずは反省するのだ。
敗軍の将は反省するだけではダメだ
第5話でキュアセレーネ覚醒前のテンジョウのセリフ「ちょうど増援したとこなの」「どう?この駒ちゃんの数」これは恐らく軍事的には正しいのであろう。しかしプリキュアは個々に個性があり、その個性を生かした戦いをする。3人と4人目はまた違う個性を持っている。4人目のキュアセレーネは困ったことに優等生。しかも弓道が上手い。弓道って武道なのです。これまで、宇宙のことばかり夢見るひかるや、結構平凡な宇宙人ララ、スポーツ万能で明るいえれなの3人しか見ていないテンジョウだったのだが、そこに頭脳派で武道の達人でもあるまどかが加わった。これは想定外すぎるはずだ。テンジョウは、大量のノットレイを用いたテング風という陣形を取って「数がちがうのよ!数が!」と自信に溢れた発言をする。しかしキュアセレーネによるセレーネアローの一撃で、大量に投入されたノットレイが蹴散らされてしまう。用兵とか陣形とかそんなこととは関係ない戦力差がある。テンジョウかわいそう。しかしテンジョウはこともあろうに「プリキュアが4人か…もっと増援が必要ね」と総括してしまう。
単調なPDCAサイクル
結局、テンジョウは、プリキュア側が3人、4人と増えることに対して、後追いで、しかも相手が増えるなら自軍の数も増やすという単調な用兵をしている。これは、一応いわゆるPDCAを回していることになるが、CとA特にAが明らかに稚拙である。2人が3人になったところで次を予測した対応はしている。つまり4人となることを想定している。しかし対応の仕方がノットレイの数を増やし用兵の練度を上げるというものであった。第5話に至っても「プリキュアが4人か…もっと増援が必要ね」と総括してしまうのはなぜだろう。これではまた誤ったPDCAを回してしまうことが見えている。テンジョウの限界なのだろうか。要は自分の持つ戦力が飛び道具どころか打撃系の武器さえないことの認識があるか否かの話である。認識ある上で、戦闘員しか調達できないことから数と陣形と練度にしか頼れないというのであれば、これは軍事作戦上の悲劇である。矢を一本放つだけで立派な陣形が蹴散らされるにも関わらず出陣しなければならないテンジョウには、第三者的に見て同情に値する。
プリキュアに勝つために
テンジョウは、大量のノットレイと練度を上げた陣形が、一撃で無に帰する事実について認識し分析すべきである。その上でPDCAを回すべきである。テンジョウさん、これ以上のアドバイスは有料です。