プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【けものフレンズ2】説明しないアニメが説明するとき【第6話考察】


第6話「あたらしいあさ」についての考察。

けものフレンズは、言わずと知れた説明のないアニメ。1期からそうであった。しかし2期も折り返しとなって、ちょっとしたイベントが用意されていた。かばんさんの登場である。これは物語に大きな影響を及ぼすエピソードのはずである。また、第6話は1クール12話のちょうど折り返しである。後半での怒涛の展開が期待できる。

かばんさん

こういう形での登場か…と思わなくもない。

顔は大人びて、華奢すぎた体格も普通程度になった。身長はサーバルちゃん対比で若干大きくなった程度か。とはいえ、外見は1期と比べ明らかに成長したと言えるので、物語は1期終了から数年〜15年後くらいの設定だろう。しかし、あまりに多くの疑問となること、つまり1期と異なることが、説明なしに描かれている。

髪の色

1期対比緑が強くなっている。まあ、髪の色が成長とともに変わることはヒトではよくあることなので、あまり神経質になる必要はないかも。しかし、かばんさんの誕生は、ミライさんがジャパリパークから避難する際に残していった髪の毛が由来であることから、髪の毛は、かばんさんのアイデンティティ上、重要なはずである。その色が変わったということは物語上の意味があるのだろう…と思ったが、ミライさんの髪の毛は更に薄い緑色であるので、ミライさんとかばんさんが遺伝子上、同一であるとすれば、かばんちゃんは成長とともに髪の色が薄くなるので説明がつくこととなる。しかし、キュルルちゃんの方が少女期から髪は緑色が強い。

サーバルちゃんの呼び方

かばんさんは1期ではサーバルちゃんと呼んでいたのに呟く形ではあるが今回はサーバルと呼び捨てとなっている。もちろんこれについての説明はない。

博士と助手

博士と助手との関係も、1期ではかばんさんがわざわざ博士のいる図書館まで足を運び、博士から教えてもらう立場だったのが、2期では博士がかばんさんの助手になっており、知識レベルの逆転が理由なのかもしれないが、立場が逆転している。ただし、共同研究ということではある。なお、1期では料理というものを知りたいと好奇心を持っていた博士が、2期で自ら鍋料理を作っていたのは感動である。1期の第7話でカレー食べた後の見送りで助手が、「また必ず来るのです。我々はお代わりを待っているのですよ」と言う。これをちゃんと守ってかばんさんが図書館に来たということだろう。しかし、その後何があったのか分からないが、博士が完全にかばんさんの手下になったということであれば、少し悲しい。

サーバルちゃん

砂時計

2期の、かばんさんの家でお茶を出された際、砂時計が出てくるが、この時、サーバルちゃんは砂時計を手にとって「すな…」と言う。明確に砂時計とは言えなかったが、これは、1期において、図書館で料理をするようにというお題を出された際に出てきた砂時計を覚えていたと思われる。ただし1期の中では明確に砂時計という言葉は出てこない。1期第7話で博士が「この砂がなくなるまでに」と言うだけである。放映シーン外にやり取りがあったかもしれないが、放映からは、サーバルちゃんは1期では砂時計と言う言葉自体は聞いていないはずであるが、砂というキーワードは覚えていたということであろう。

かばんちゃんの記憶

1期12話でかばんちゃんがセルリアン体内から取り戻すことに成功した直後のサーバルちゃんのセリフ、「一番最初に会った時にしたお話覚えてる?」が、この2期第6話で効いてくる。サーバルちゃんはもうこのお話を覚えていないのだ。なぜなのだろう。

ラッキービースト(ボス)

1期ラスト、巨大セルリアンを船を操作して倒したラッキーさんはそのまま海中へ沈む。ラッキーさん自体はバラバラになってしまっていた。ラッキーさんの核となる腕時計型部分のみ手に入ったが、これ、2期第6話でいろんな形のヤツが引き出しにゴロゴロ入っていて、かばんさんは、帰宅したら手にはめていたラッキーさんを外して、引き出しに無造作に放り込んでいた。うーん、どういうことだこれ?確かにラッキーさんは電子機械でしかないが、しかしサバサバするにもほどがあろう。1期では同志に近いところまで関係が高まっていたと思われたのだが…何があったのだ、かばんさん。確かにかばんさんに限らず、2期ではラッキービーストは途中、途中で交代しており、キュルル達も、ラッキービーストに対して、さは、思い入れを持つ対象というより単なる便利なガイドとして見ている感じである。つまり、1期と2期でのラッキービーストに対する思い入れの差は、かばんさんの思い入れの差というより、制作側の思い入れの差なのだ。ゆえに、これはかばんさんが変わったと考えない方が物語を理解する上では良いと考える。

カレーとキノコの激辛鍋

1期では料理というものを良く理解できていなかった博士が2期では料理できるようになっているのが成長である。まあ、かばんさんの家にIHクッキングヒーターがあるため火を使う必要がないことが、火を恐れる博士が料理することを可能にしているのだろう。因みにこのIHクッキングヒーターは、アイリスオーヤマ製IHK-T35-BもしくはIHK-T36-Bである可能性が高い。

アイリスオーヤマ IHクッキングヒーター 1000W ブラック IHK-T36-B

【図1】アイリスオーヤマ IHK-T36-B

いずれにしろ、食材は野菜のみである点が、けものフレンズ界の暗黙の了解である。肉食はいないのである。なお、鳥類はカプサイシンには反応しないので、激辛鍋の方は博士と助手には全く意味をなさないはずであるのだが、クセになっちゃうとか言ってる。まあ、フレンズ化した時にカプサイシンに反応するようになっているのかもしれない。

かばんさんがキュルルにラッキーさんを渡したこと

1期で同志の域にまで高まったと思われたラッキーさんとかばんちゃんとの関係だが、上に書いた通り、かなりぞんざいな扱いを受けているように見える。最後にはかばんさんは1期ラストで自分たちを守ってくれたと思われるラッキーさんをキュルルに渡してしまうことまでする。これは1期を知る者からすれば一見暴挙である。

しかし考え方を変えると、これはかばんさんの愛情と考えることもできる。かばんさんの真意は、ラッキーさんを、キュルルに渡したのではなく、昔行動を共にしたサーバルちゃんに渡したのだ。ラッキービーストは人がいないと話をしないからキュルルの手につけさせるのが合理的である。そしてしばらくはサーバルちゃんはキュルルと行動を共にするはずだ。だから、ラッキーさんの話す内容から、かばんさんとサーバルちゃんは、昔一緒に旅をしていたのだと思い出して欲しいという思いを乗せてキュルルに渡したと考えることはできる。腕時計型になっていることで足手まといにもなることはない。かばんさんは、大切なラッキーさんを手放してでもサーバルちゃんに自分のことを思い出してもらいたくて賭けに出た…という解釈もできる。

説明しないアニメが説明した時

けものフレンズは説明しないアニメである。描かれたことしか分からず後は観る側が推測するしかない。だから、わざわざ入れなくても良いエピソードを入れてきている時は、逆に物語の重要なシーンであるか、可能性は少ないと思うが、制作側からのメッセージが込められているシーンである。説明しないアニメなのだから、前者と考えて意味を理解するのも、後者と考えて2期制作に際して色々あったことと結びつけて理解するのも有りである。説明しないアニメは、見る側にとって、描かれたことを、どう受けとれば良いか分からないアニメであるとともに、制作側にとって、どう受け取られるか分からないアニメでもあるのである。