アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【けものフレンズ2】コールドスリープの痕跡


第1話「きおくのかなた」は、キュルルちゃんが卵型カプセルから出てくるところから始まる。このカプセルは、コールドスリープ用設備と思われるが、これについて考える。

キュルル覚醒時の状況

カプセル内には他にスケッチブック、ショルダーバッグ、水筒?の装備が入っていた。キュルル自身も含めカプセル内のものはカプセルに入れられた時そのままの状態である前提で考えれば良いことになる。このため、スケッチブックに描かれた場所に実際に行ってみると、色々変わっているため、キュルルがコールドスリープしてから相当の時間の経過もしくはなんらかの破壊的事象があったことがわかる。

第1話「きおくのかなた」のカプセル

キュルルちゃんが目を覚ますシーンで、薄暗い中にもキュルルちゃんが眠っていたものと同型の卵型カプセルが他にも幾つか見られる。つまり、キュルルの他にコールドスリープしているヒトがいるもしくはいた可能性がある。ただし、他のカプセル内の描写はないため、現時点で使用されているか否かは不明である。

第6話「あたらしいあさ」のカプセル

かばんさんの家のリビングには、現在は使用されていないが縦型のカプセル状のものが少なくとも4台置かれていることが分かる。これらも、コールドスリープ用カプセルと思われる(こちらの方がイメージ的にコールドスリープ用らしさが高い)が、こちらはアニメの描写からは、使用されていないようにみえる。タイトルの「あたらしいあさ」は、キュルルと博士、助手が海でもサンドスターが生まれることを確認し、それを朝、かばんさんに報告したことを一義的には指しているのだが、わざわざ縦型カプセルを描写したところを見ると、コールドスリープからの目覚めについても指しているように思われる。ただし、キュルルはすでに第1話でカプセルから覚醒したシーンが描かれているので、かばんさんの家にカプセルがある描写の意図は分からない。

コールドスリープについて残る謎

何故キュルルはパーク内のコールドスリープ施設で眠らされていたのか。また、キュルルはまだ子供であるのに、何故家族が周りにいなかったのか。自分の子供なら、避難時は連れて行くはずなのではないだろうか。これは、キュルルと一緒にスケッチブックとバッグと水筒が入れられていたことから、キュルルは、コールドスリープ時点での不治の病のために、お気に入りの物と共に未来の医学を信じて家族がコールドスリープ施設に入れたということなら理解できる。ただしその場合、キュルルがどのような病に罹っていたかが、重要となってくる。少なくとも覚醒後は当然なんの治療も受けていないのだが、病に冒されている描写はない。一方、家族も一緒にコールドスリープ施設に入っていたが、なんらかの理由により、キュルルのみ早く覚醒しただけということも考えられる。これは第1話において、他にもカプセルらしきものがあったことから可能性はある。

物語のミスリードと家族再会

キュルルは、スケッチブックを頼りに、最初に出会ったサーバル、カラカルと、お家に帰るために旅を続けている。地図を持って行動していたかばんと異なり、キュルルはスケッチブックに基づいて移動しているため、9話時点で、まだ降り出し地点の、さばんなちほーにいるようにみえる。しかし、これは制作側のミスリードで、キュルルが眠っていた施設に家族もまだ眠っており、最終話で、覚醒した家族に再会することが「けものフレンズ2」のラストなのではないかと考える。つまり、キュルルは"おうち"を探していると言って、おうちにいるはずの家族について一切言及していないが、キュルルが本当に探しているのは、おうちではなく、そこに暮らす家族であるということを再確認して終わるのではないかと。イエイヌはヒトに会いたいがために一人で"おうち"を守っているが、キュルルはイエイヌとは逆にヒトに会いたいがために"おうち"を探しており、探す側、守る側の違いはあるが、望むことは同じ構図になっている。議論を呼んだ9話は、このような意味があるのではないだろうか。