スタプリのテーマについてハグプリと比較して考える。
【図1】公式壁紙にしっかり書かれているキャッチコピー
ハグプリのテーマ
スタプリの前に放映されたハグプリの場合、
- なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来を抱きしめて!
- 働く母親
の2つがシーズンを通したテーマであった。特に1に関連してか、終盤に、全人類がプリキュア化する描写まである。
スタプリのテーマ
ハグプリのテーマと対比して考えると、スタプリのテーマは次の2つが考えられる。
- 宇宙(そら)に描こう! ワタシだけのイマジネーション!
- 家族の形態もしくは父親の位置づけ
夢に向かって生きること
テーマとして挙げた1つ目は、スタプリもハグプリも、作品のキャッチコピーである。故にこれがメインテーマであることは明白である。しかし、なかなかわかりづらい言い回しである。
ハグプリのキャッチコピー
「なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来を抱きしめて!」とはどういう意味だろうか。これは単に「希望を持って」ということを言い換えているだけなのだろうか。「なんでもできる!なんでもなれる!輝く未来」が「希望」を指すというのは理解できる。では、「抱きしめて」は「持つ」と同じ意味となるのだろうか。広く考えれば、抱きしめることも持つことも自身の手の中で保有するという意味では同じである。しかし、「抱きしめる」には、力がこもった感覚があり、さらにこの「力」には愛情のニュアンスがある。この辺り少し意味を捉えがたいが、ギュッと捉えて離さないという意味と割り切れば、ハグプリのキャッチコピーは、「希望を持ちなさい」ということで良いだろう。これは、将来に向かって生きろということか。故にお仕事体験とか子供が大人の職業に触れるエピソードが多かったし、最終回にはメインヒロインが出産するというところまで行く。
スタプリのキャッチコピー
「宇宙(そら)に描こう! ワタシだけのイマジネーション!」には、ハグプリにあった将来・未来の視点はない。今現在をどう生きるかのメッセージだろう。このコピーの意味は話が進むうちに具体的に明らかになるであろう。「宇宙(そら)に描こう!」は、「なんでもできる!なんでもなれる!」と共通する無限の可能性を意味すると思われる。
家族のこと
ハグプリは、明らかに母親及び働く女性にスポットライトを当てていた。初期プリキュアメンバー3人の母親は皆、職業を持っており、その職業を絡ませたエピソードがあった。一方のスタプリは、家族というものを考えさせる話が出つつある。香久矢まどかは、厳格すぎる父親とおっとりしすぎな母親との一人っ子。天宮えれなは、メキシコ人のポジティブかつ陽気すぎる父親と日本人の母親の間に生まれた6人兄弟の第一子長女。星奈ひかるは、母親と祖父母と暮らす一人っ子(父親については、父親の書斎を今はひかるが使っていること以外は第1クール終了時点では触れられていない全く触れられていないことが、これから何かあることを予感させる)。羽衣ララは、家族の存在自体不明。ララを除き、いずれも、父親に個性がある。この様に多様な家族形態を持つスタプリは、これから家族に対する問題提起をしてくることは明らかなので、それについては今後読み解いていきたい。
2つのテーマの一貫性
ハグプリが、輝く未来と働く母親をテーマにしたのは、メインターゲット層の将来のことという点で共通している。一方のスタプリが、イマジネーションと家族をテーマにしていることは、メインターゲット層の現在ののことという点で共通している。輝く未来と家族でも、イマジネーションと働く母親でもないところに、それぞれのプリキュアにおけるテーマの一貫性がみられる。