第30話は、素晴らしい回であった。1つ前の第29話と合わせて、これまで余り深掘りされなかったララの性格や考えていることについて描かれていた。ここでは、タイトルについてみてみる。
第30話のタイトルについて
今話のタイトルは「ララの想いとAIのキモチ☆」であり、ちゃんと「☆」が付いているが、あまり意味のない「☆」である。
それより興味あるのは「ララの想い」と「AIのキモチ」である。
ララの想い
これは、家族への想いだろう。ララはこの第30話で、半人前扱いされること、子ども扱いされることを非常に嫌っている。そういえば地球に来た当初から、ララはサマーンでは14歳は大人だと繰り返していた。それがここにつながるのか。子ども扱いされて微妙な感情を兄と両親に対して持って生きてきたが、前回第29話で、家族を大切に思う強い気持ちでテンジョウに立ち向かうところがララの優しさというか微妙な心情である。そして、遂に家族に自分がプリキュアの1人であり、プリンセスについても良く知っていることを話せるようになる。この辺りがララの想いなのだろう。
AIのキモチ
これ、「気持ち」でなく「キモチ」であるが、AIだからなのだろう。特に理由はなく、カタカナだとAIぽいという感覚。まあ、分かる。で、AIなのであるが、ここでいうキモチとは、ズバリ親しみであろう。共に過ごすこと自体に喜びを感じるタイプの。そして、これが愛情でないのは、AIは、ララだけでなくヒカルをはじめとした他の面々についても親しみを感じているから。停止する寸前、皆と共に過ごせたことを懐かしんでいる。そして、これはハグプリのルールーが倒された時も同じである。そしてリブート(初期化再起動)されるという点も同じである。当然その後、もう埋もれて参照できなくなったはずのプリキュアたちの記憶が復活するところも一緒。そうね、AIも人工とはいえ知能を有しているのだから、ひかる一行の楽しさは理解できるんだよね。だから自分の身、というか自分の記憶がなくなろうとも、彼女らを守ろうとしたのだ。
パーソナルAIの孤独な戦い
ララのパーソナルAIは、アイワーンとの電脳戦において、既に乗っ取られたマザーAIの代わりに、戦いを挑み、勝利している。しかし、その前から既にパーソナルAIの戦いは始まっていた。
マザーAIとの戦い
パーソナルAIは、まず、なぜ宇宙星空連合に属さないひかるたちが惑星サマーンにいるかの説明にララが窮していた際に、「保護した」という法に適合する理由を見つけ、場を無事に収めた。これは、尋問側に裏にマザーAIがいるわけで、マザーAIをもうまく騙したことになるのである。更に、ララが追われる身になった際も、ジャミングによりマザーAIの追跡を無効化している。このように、ララのパーソナルAIは、本来できるだけ一致しているべきマザーAIの判断と違うことを自らの判断で行なっている。AIも楽しかったのだろうなぁ。ララやひかるたちとの旅が。だからこそ、そのララが絶体絶命のピンチになった際に、自らの記憶を犠牲にしても守ろうとしたのだろう。AIの場合、身体というより記憶が本質であるから、ロケットがどれほど傷もうがAI部分が残れば良いのではあるが、初期化再起動されるとそれは吹っ飛ぶ。この初期化再起動を恐れずララのために突っ込んでいった姿は、あの異常に可愛らしいロケットの姿ではあるが、「アルマゲドン」を思い出さずにいられない。
共に報われる「想い」と「キモチ」
想いもキモチも、共に人の心の中にある誰かもしくは何かへの心のあり様である。だから、第30話のタイトルは『「ララのキモチ」と「AIの想い」』でも全く違和感ないのである。そして、両者の想いもキモチも、この回の最後にちゃんと報われる。ハッピーエンドなのである。だからこの回は素晴らしい回なのである。
【図1】AIの想いが報われる瞬間!であり、かつ奇跡が起こる瞬間!