なんとなく分かったようで分からないトゥインクルイマジネーション。これについて考えてみる。そもそもトゥインクルイマジネーションには、2つの概念があることが混乱の元。【2019.12.25加筆】
初言及
第32話「重なる想い☆新たなイマジネーションの力」にて、プリンセススターカラーペンを集め、フワがユニコーン形態になっただけでは足らず、フワを更に成長させなければならないとのことで、意識を新たにしたプリキュア達の前にガルオウガが現れ、その戦いの流れの中で、フワが前面に立ってプリキュアたちとともに発動されるのが技としての「スタートゥインクルイマジネーション」。しかし、スタープリンセスたちもダークネストも、フワを大いなる力に導くためにトゥインクルイマジネーションを集めなければならないと言う。つまり、トゥインクルイマジネーションには、技の名前として以外にもトゥインクルイマジネーションと呼ぶ何かがあることになる。これは、ダークネストが言うには、フワという器を満たすものである。この段階では、ひかるが「じゃあみんな プリンセスイマジネーションを探そう!」と言っており、実体のあるモノであるかのような印象を与える。
初回発動
「スタートゥインクルイマジネーション」という技としては、第32話において、戦いの流れで、プリキュアの5人がフワの誘導で発動させるのが初めてである。一方、個々人が見つけるトゥインクルイマジネーションとしては、第35話でひかるが初めて見つける。
個別発動
キュアスター(ひかる)のケース(1)
タイトル
第35話「ひかるが生徒会長!?キラやば選挙バトル☆」
中ボス
カッパード
状況
姫ノ城桜子さんと成り行きで生徒会長選挙を戦うことになるひかる。自己中心的な性格と思われた姫ノ城さんが、実は心から観星中を良くしたいという思いで立候補していることを間接的に知り、クラスメイトであるにも関わらず姫ノ城さんのことを知らずにいた自分に対する思いを、、カッパードにぶつけている際に発動。
発動直前のセリフ
わたしは…もっと知りたい!彼女のこと!
わたしはわたしのことも知ってほしい!
分かり合うため!
分析
ひかるの発動は、「お互いが分かり合いたい」という感情により発動。これは、お互いを知ることで相手の気持ちをより深く"想像"することができるという意味で、トゥインクルなイマジネーションなのである。しかしこれは、他のスタプリの面々と比べると、かなり低次元な内容で発動しているように思われる。そこに至るまでの葛藤がほぼ無いのだ。
なお、公式にはこれはトゥインクルイマジネーション発動とされていない。
キュアコスモ(ユニ)のケース
タイトル
第38話「輝け!ユニのトゥインクルイマジネーション☆」
中ボス
アイワーン
状況
アイワーンと対峙する際、ユニのせいで居場所を失ったと言うアイワーンのセリフに対し、自分はアイワーンのせいで居場所を失ったと考えてでた行動が、アイワーンの居場所を奪っていたことに気づき、互いに同じことをし、同じ境遇になったことを悟ったところで発動。
発動直前のセリフ
同じだ
アイワーンとわたし
わたし
あなたのこと傷つけてた
ごめんニャン
今なら分かるあなたの気持ち
苦しかったんでしょ?アイワーン
わたし…わたし決めたニャン
あなたを…ゆるす!
過去だけをみるんじゃなくて
前に進んでいきたい
あなたと一緒に
自分だけじゃなくて
わたしはみんなと一緒に…
未来に行きたい!
長い…けど良いセリフ。
分析
ユニの発動は、自分を仲間から孤立というか仲間に害悪を与えた憎むべき相手を許したことが最大の感情であるが、そこに至る前に、アイワーンも自分に対して仲間から孤立させた憎むべき相手と考えていることを"想像"できたこと、これがトゥインクルなイマジネーションなのである。相手の感情を想像できたという点で、ユニとひかるのトゥインクルイマジネーション発動条件は似ている。
キュアソレイユ(えれな)のケース(1)
タイトル
第39話「えれな大ピンチ!テンジョウ先生のワナ!」
中ボス
テンジョウ
状況
テンジョウは、変身前で隙のあるプリキュアからフワを奪うことを企み、英語教師として観星中に潜入。見事えれなの英語スピーチコンテストの指導教師の座に収まり、アドバイスと称して、えれなのトラウマ的な部分を攻める。しかしえれなはそれに折れるどころか、それを糧にし、見事なスピーチを書き上げ、その上でえれながテンジョウに想いをぶつける際に発動。
発動直前のセリフ
テンジョウ!
あたしあなたには感謝してる!
だってあのスピーチができたのは
あなたのアドバイスのおかげだから!
笑顔に価値はあるよ
笑顔には人と人をつなげるすごい力が
あるんだー!
これ、えれなに精神攻撃を仕掛けたつもりが、返り討ちにあい、テンジョウを精神的に混乱させることになる。
分析
えれなの発動は、敵であっても自分にプラスになることをしてくれたのであれば感謝するという感情であり、直接的に"想像力"が働くというより、敵であるテンジョウと自分を導いてくれたテンジョウとを分けて考えることができること、これをイマジネーションと考えるのだろう。このような能力も想像には必要なことである。
なお、これは正式にはトゥインクルイマジネーション発動とはされていない。
キュアミルキー(ララ)のケース
タイトル
第40話「バレちゃった!?2年3組の宇宙人☆」
中ボス
カッパード
状況
まどか父による余計なお世話な活動により、ララが宇宙人であるという噂がクラスに流れ、気まずいムードになる中、カッパードが現れ、仲良くしても結局地球人に裏切られるぞと言っていた通りになった、地球人にサマーン星人のことなど分からないと言われた際に発動。
発動直前のセリフ
まず、変身前に次のセリフを言う。
分かってもらえなくてもいいルン!
わたしのことは分かってもらえなくても!
わたしにとっては大事な友達ルン!
更に変身後にこう言う。
たしかにわたしはサマーン星人ルン
でもわたしは…
わたしは2年3組 羽衣ララルン!
更に間を置き、
わたしは大人ルン!
自分にそう言い聞かせてきたルン!
家族やサマーンのみんなにみとめられたくて…
でも!みとめてくれたルン!
みんなは…ありのままのあたしを
サマーン星人のわたし
プリキュアのわたし
地球人のわたし
わたしは わたしのままでいていいんだって!
みんながみとめてくれたルン!
わたしはみんなを守りたいルン!
みんなと一緒にいたいルン!
わたしは…わたしは…わたしらしくいたいルーン!
これは、ララが地球に来たことによってアイデンティティを確立したということ。見ているこっちの精神がえぐられるほどの素晴らしい展開。「地球人のわたし」のセリフは解釈が難しいが、単純に考えれば、地球で暮らしている自分という意味なのだろう。
分析
ララの発動は、他のプリキュアと違い、クラスメイトに対する感情に基づくものである。ララは、サマーン星人としては、大人として認められようと頑張ってきたが、なかなか認められず、多少屈折した感情を抱いていた。しかし、地球に来て、ひかるはもちろんのこと、クラス中の皆から自分がクラスの一員として受け入れられていたことに感謝している。そして自分が宇宙人であると発覚し皆がそれを受け入れることに戸惑っていることもララは理解し受け入れている。その上で、クラスが受け入れてくれなくなったとしても、自分はクラスの一員と思っていると言い放つ。これは、たとえ周りが理解してくれなくても、自分は自分であるという考えを持つに至ったことを表す。しかも、自分は自分という言葉を、他人を顧みずに自分勝手に生きるという文脈でなく、他人に理解されなくても、皆を守り、皆と一緒にいたいという文脈で自分は自分でいるという考えを用いている点が、トゥインクルなイマジネーションなのであろう。
キュアセレーネ(まどか)のケース
タイトル
第41話「月よ輝け☆まどかの一歩!」
中ボス
ガルオウガ
状況
編集中
発動直前のセリフ
編集中
キュアソレイユ(えれな)のケース(2)
タイトル
「笑顔への想い☆テンジョウVSえれな!」
中ボス
テンジョウ
状況
えれな母の「あの笑顔はえれなの本当の笑顔じゃない。心からの笑顔を見せてくれない」という思いを知り、また、テンジョウが「笑顔なんて仮面なのよ」と責めていた。これに悩むえれなは、まどかに相談する。まどかに「えれな大丈夫 自分を信じて」と励まされ、えれなはトゥインクルイマジネーションを発動する。
発動直前のセリフ
テンジョウ あなたの言うとおりかもしれない
あたしも作ったんだ笑顔を(略)あたし自分が本当の笑顔になっているかどうかなんて考えたこともなかった
人の笑顔のことばかり考えてて…
本心を仮面でかくすって言ってたけど
でも聞けたよ!あなたの本心!
あたし分かるよあなたの気持ち
だって…あたしもそうだったから!(略)
でもそれを救ってくれたのが家族の笑顔
本物の笑顔だった
だからすくわれたんだ
笑顔にはすごい力があるんだ!
あたしは人の笑顔のために自分を犠牲にしているんじゃない!
あなたのおかげで気づけた
思ったのあたし…
あなたを笑顔にしたい
だって笑顔を見るのがうれしいの 大すきなの
みんなの笑顔が…笑顔が…あたしの笑顔になるの!
だから…だから…あたしはみんなを笑顔にしたいんだー!
分析
テンジョウとの笑顔の意味に対するえれなの結論が出た回。テンジョウは未だ完全には落ちてはいないが、かなりえれなに攻略された感じ。結局、えれなは笑顔の限界や欺瞞性を理解した上で、それでも心からの笑顔は信じるというスタンスで笑顔を肯定することで、悩みを克服した。えれなのトゥインクルイマジネーション発動は、自己の内心の葛藤を克服するという形で起きた。
キュアスター(ひかる)のケース(2)
タイトル
「輝くキラキラ星☆ひかるのイマジネーション!」
中ボス
カッパード
状況
自分だけトゥインクルイマジネーション発動できていないことを悩むひかる。これに対し、ララが、
わたしらしくしてても ちゃんと理解し合えるって
ひかるが…教えてくれたルン!
ひかる…ひかるは…ひかるルン
と言う。このセリフにより、ひかるは何かを掴む。
発動直前のセリフ
輝きはそれぞれちがうんだって…
わたしはわたし!輝いていたいんだ!
分析
他のプリキュアたちと異なり、ひかるについては、これまで悩みらしい悩みは描かれてこなかった。他の4人はそれぞれの悩みに絡ませてトゥインクルイマジネーションを発動していたが、その意味で、悩みのないひかるは発動できないのは当然であり、どのように発動させるのかと思っていたら…これか。こんなのを持って来るくらいなら、公式ではトゥインクルイマジネーション発動とされていない第35話「ひかるが生徒会長!?キラやば選挙バトル☆」の方が、ふさわしいと思える。相手のことをもっと知りたいと言う感情は、イマジネーションという名前にふさわしい。わたしはわたし、輝いていたいというのは、それはそうだけれど、5人のプリキュアの大トリとして出すには弱いし、これは、イマジネーションではないし。トゥインクルイマジネーション発動という、せっかくの舞台設定が、十分に生かされていない感じで残念である。