正義を名乗る側の驕りが表現された大人向けの回。スタープリンセス最悪だなこいつら!
- ノットレイダー部隊を看病するプリキュアたち
- 第47話にして一致団結
- スタープリンセスのコマでしかないプルンス
- ノットレイダーの期待を胸に進むプリキュア
- 小出しの事実
- 諸悪の根源
- 辻褄
- そして再度フワはひかるの元から去る!
- 子供に戦いを強いる大人
- タイトルの意味
- タイトルの「☆」
ノットレイダー部隊を看病するプリキュアたち
前話第46話で戦いに敗れたノットレイダー部隊。それを宇宙星空連合の病院船で看病するシーンから始まる。要するに治療されているガルオウガ、カッパード、テンジョウは、捕虜になったというわけである。しかし、目覚めたガルオウガ、カッパード、テンジョウからは険が取れていた。プリキュアは、捕虜ではなく味方として彼らを扱った。
第47話にして一致団結
プリキュア、宇宙星空連合、ダークネスト以外のノットレイダーが一致団結するという総力戦を挑むという発想は良い。
スタープリンセスのコマでしかないプルンス
(ユニ)何も知らなかったわけ?宇宙を作ったのが13星座のプリンセスだって
(プルンス)長らくお仕えしていたでプルンスが初耳でプルンス
このプルンスのセリフ、かなり悲しげである。肩は無いような体型のプルンスの肩が落ちていた。それを見守るまどか、えれな、ひかる、ララの表情も彼女らなりに同情的である。それはそうである、プルンスはプリンセスから信頼されていなかったということであるから。そしてこれは、ひかるたちプリキュアにとっても同じことが言えるのであるから。
【図1】肩を落とすプルンスとそれに同情的なプリキュアたち
ノットレイダーの期待を胸に進むプリキュア
プリキュアに先を行かせるために、中ボスたちが協力して局地戦闘を行う際に、ガルオウガが「われらノットレイダーの力見せてやるぞ!」と言う。ここから分かるのは、ダークネストこと蛇遣い座プリンセスと、ノットレイダーの双方は独立しているということ。また、過去のガルオウガとダークネストとのやりとりから、双方は契約関係にあったと言える。このため、目的が相違すれば双方は離れる。
小出しの事実
もうね、プリンセスか事実を隠すものだから、ひかるたちは翻弄されまくり、見ている大人も子供も戸惑いまくり。蛇遣い座プリンセスの言ってることも一理あるじゃん!
何も知らされていないようだな
蛇遣い座プリンセスのこのセリフ、重い。この後、キュアスターの「えっ?」というセリフが続き、12星座のプリンセスの俯いた描写に移る。
諸悪の根源
今回の事態が生じた根源的理由が明かされる。それは、次のセリフに集約される。
(しし座のプリンセス)見てみたいのです。この宇宙に生きる者たちがイマジネーション、想像力をめぐらしてつくる世界を
「見てみたい」。このなんともシンプルな理由、これで、カッパードは星の環境を破壊され、テンジョウは自らの要望に悩み、アイワーンもガルオウガも苦しむことになる。
(蛇遣い座のプリンセス)あたえたイマジネーションがゆがめばどうする?宇宙の秩序がなくなるぞ
当然、その通りのことが、発生してしまう。
(てんびん座のプリンセス)ゆがみは人々のイマジネーションが正してくれるでしょう。
あくまで楽観主義の12星座のプリンセス。
(おうし座のプリンセス)ゆがんだイマジネーションを正す…前へともどすべく浄化する。プリ…キュアの力が
おい、なんで「プリキュア」の語を分割するんだ?
(キュアスター)前にもどす…浄化する?
(キュアコスモ)プリ…キュアの…力…
そりゃあ、疑問に思うよね?自分たちの役割がそこなのかぁと。
(蛇遣い座のプリンセス)われは1人反対し力でねじふせようとしたが、多勢に無勢、われは追いやられ大いなる闇をつくり、そこで力の回復を待った。その間、プリンセスは自分たちのイマジネーションの力、その半分を命に与えた
うん、蛇遣い座のプリンセスの言い分は理解できる。回復を待つ間、もどかしかったであろう。その間、12星座のプリンセスは好き勝手するのだから。
(キュアスター)わたしたちのイマジネーションは…
(キュアコスモ)もともとプリンセスのもの…
もうプリキュアたちは大混乱です。我々視聴者も老若男女問わず大混乱です。
辻褄
この脚本の素晴らしい点は、地球に12星座という概念があることの説明をちゃんとしていること。そうでなければ、12星座の記憶を持つ地球が宇宙の中心的存在であることになってしまうから。しかしスタプリはそこに答えを用意している。蛇遣い座のプリンセスに次のように語らせている。
どの星にも12星座の記憶があろう?ヤツらのイマジネーションの名残。案の定、イマジネーションはいきどおり・悲しみ・ねたみとあまたのゆがみを見せ始めた。よってわれはこの宇宙を消すと決めた
宇宙創造と同様、宇宙の消去にも、われら13星座の力が必要
で、12星座のプリンセスは、宇宙を守るために、器のフワとプリキュアのトゥインクルイマジネーションを重ねろと言う。
これ、明らかに12星座のプリンセスの言っていることがおかしい。宇宙を守るために蛇遣い座のプリンセスを倒せと言うが、元々は12星座のプリンセスの「見てみたい」という好奇心が元凶の事態である。カッパード、テンジョウ、ガルオウガ、アイワーンの悩みは全て、ここから生まれている。このような事態を蛇遣い座のプリンセスは想像力があるため危惧していた。しかし他のプリンセスは、そこまで予見する能力がなかったため、「ゆがみは人々のイマジネーションが正してくれるでしょう」なんて呑気なことを言っている。原因を作った者(12星座のプリンセス)が、その責任を取らず、事態発生を阻止しようとした者を、無関係な他者(プリキュア)を使って倒そうとする。これはかなり邪悪な発想である。こう言うことを描くプリキュアとは、深すぎる。
そして再度フワはひかるの元から去る!
蛇遣い座プリンセスとの戦いでフワは消える。前話に続き、またもフワ消失のラストか…疲れるな。しかも、今回は、前話のように、「ヒーリングっどプリキュア」の予告において、主人公花寺のどかが「ふわあ〜生きてるって感じ」と証言してくれなかった。ただし、「地球さん今日はお加減いかがですか?」と言っている。これは、フワはともかく、スタプリから引き継いだ際には地球は救われているということ。最悪の悲劇は起きないが、フワの犠牲はあるということか?でも何故か次回予告ではフワの姿は描かれていないが蛇遣い座プリンセスは出てきたので、何かが起きそう。フワが蛇遣い座プリンセスの心を乗っ取るというのがありそう。プリキュア側がノットレイダーを味方につけただけに。
子供に戦いを強いる大人
まあ、プリキュアシリーズは全般的にそうなのであるが、伝説の戦士とか持ち上げて、結局は、子供を戦場に送り込んでいるだけの話である。今回は特にフアを、こともあろうに、蛇遣い座のプリンセスを倒すために特攻させている。これ、蛇遣い座のプリンセスが言うように、フアを単なる器としてしか考えていないからできることであり、フアを心を持つ子供と考えたら、こんなこと血が流れている者ならできない。スタプリは、この単なるつまらない大人の主導権争いに端を発する戦いに巻き込まれる子供を、はっきり分かるように描いている。このため、これまでのプリキュアでは表に出づらかった問題が明確化された。大人の醜い争いに子供の生命を道具として使うということをプリキュアで明示的にやったのは、相当なチャレンジである。第47話での、蛇遣い座を追放する際の12星座のプリンセスの勝ち誇ったような満足顔と、単なる「見てみたい」という興味で始めたことが、結果的に宇宙の人々を苦しめている現実を蛇遣い座のプリンセスがプリキュアに語る際の12星座のプリンセスの苦々しい顔を、連続的に見せた演出は、正義を語る者たちの欺瞞をしっかり描いていた。まあ、メインターゲットの幼女の方々には難しすぎる描写であろうが。これは本当に震えるほどのエピソードである。スタプリ製作陣の英断の成果である。
タイトルの意味
タイトルの「フワを救え!消えゆく宇宙と大いなる闇!」は、結局、蛇遣い座のプリンセスが生み出すブラックホールから、宇宙を救えという意味ではなく、自らの失敗を帳消しにするために、自らは責任を取らず、フワを特攻させることでごまかそうとする12星座のプリンセスの考えの闇が深いという解釈が妥当であろう。最悪だな、12星座のプリンセス。蛇遣い座のプリンセスの賢明さを採用しないどころか、追放するなど、愚かにもほどがある。そんな愚者が宇宙を創造したということが不幸と考える蛇遣い座のプリンセスの考えに一理あると思わざるを得ない。
タイトルの「☆」
この第47話は、タイトルに「☆」がつかなかった。深刻な回という扱いということだろう。たしかに、12星座のプリンセスがどう見ても悪く、悪者だったはずのダークネストが正義に見えてくるみたいな展開なので、事態はかなり深刻である。「フワを救え!」というのも、ダークネストのみでなく、12星座のプリンセスもフワを器としてしか見ていなかったことは、ほぼ明らかになったため、ひかるたちは、フワをダークネストからだけでなく、12星座のプリンセスからも救わなければならなくなったということで、タイトルから「☆」が消えたのは理解できる。