「フルーツバスケット２nd Season」エピソード１６。紅葉とモモ、紅野と魚ちゃんの２組の惹かれる２人の関係が少しだけ進む回。
会いに行くが見るだけの双方向関係
紅葉がパパのビルにモモ（とママ）を見に行っているのと同様に、モモも紅葉の家に紅葉を見に行っていた。この双方向性のみで全てが分かる。しかし、それに加えて駄目押しのようにモモが透に紅葉への想いを語る、語る、語る。これで紅葉とモモが相思相愛（？）であることが分かる。これは血の繋がりゆえの愛情…兄妹。モモ自体「モモ、お兄ちゃん、欲しいもん」と言っている。これが全て。全てを知る紅葉がモモを見ているように、モモが紅葉のバイオリンを聞きに紅葉の家に侵入する。双方向に愛情を持ちながら、互いにそれを受け止めることができていなかった。互いの想いを気づいていなかったから。それを透が仲介する形で関わる。そして、モモの想いを聞いて「うれしい」と思う紅葉の感覚。これが全てだろう。そして、ここに透が絡んだこと…これがフルーツバスケット。
恋愛フラグ
透が珍しく屋根の上に上がってしんみりしていると、夾がやってくる。
夾がからかい半分に
今日は探検でもしてたのか？
と聞くと、透がこんな風に答える。
はい。最低限のことしかできなかったです。好きな人とは一緒にいたい、そばにいたいですよね
これには夾は、かなり驚いたと思うし、動揺したと思うが、しかし、予め答えを用意していたかのような完璧な回答をする。
なにお前、好きな人でもできたのか
心配すんな
お前にそんなのができた時は
協力してやるから、俺が
と夾が言うと、透の目から涙がこぼれる。
何で泣いてるんだ
と動揺する夾。
分かりません 急に 涙がポトポトと
と言うしかない透。
完全にフラグじゃねえか、これ。
「好きな人とは一緒にいたい、そばにいたいですよね」にはそれほど驚かなかったのに、涙には動揺する夾。できた人間じゃん、夾。これは、透が誰を愛しても、そらを応援すると、夾の中で既に気持ちの整理がついていることを意味する。一方で、急な涙に動揺するのは、泣くほどの大きな感情の昂りについて、理解できず、どのように対応したら良いかわからないから。夾…どんだけ透のことを考えているんだ。良い奴すぎる。
胸が痛い ちぎれそう
途方もない願いが心細いから？
叶わない願いもあることを知っているから？
それでも願いを…願いを…
これは、叶わない想いを持つ者達、つまり、紅葉とモモ、紅野と魚ちゃんという２組に対して透が共通して抱く想い。この２組に共通するのは、草摩の物の怪憑きと普通の人間との愛である。
透のやっていること
紅葉とモモに対することは、草摩のことであるので、透が関わっても違和感ないが、紅野と魚ちゃんの関係は、魚ちゃんという草摩家の外の人間が絡むため、しかも他人の恋路に関わることなので、勝手にしゃしゃり出ることは、良くない。これが原因で叶うものも叶わなくなるかもしれない。冷静に考えると、透のやっていることは、お節介を通り越して、大迷惑な話である。これに気づかない透は、かなり友達として危険人物である。無邪気に、友達を思う心のみで恋を破綻させる…こんな友達は嫌だ。しかし、魚ちゃんは、逆に透のそういう性格に惚れ込んで親友となっているから、本心では嫌でも、許すのだろう。それが透なのだから。
タイトル「だから伝えて」
これ、モモが透に言ったセリフ。今回出てきたもどかしい２組において、他の３人が、伝えたいと思っても伝えられない中、ただ１人子供のモモだけがこれを言える。紅野と魚ちゃんの関係においては、双方もう子供でないので伝えることはできない。そこで出てくるのが透。透が勝手にしゃしゃり出ることで、魚ちゃんの想いを紅野に伝えることができる。本人達の意思を無視してやっちゃうところがダメなんだけど。
