依鈴回。
紫呉は、依鈴が潑春のために呪いを解く方法を探しているというが、そうではなく、依鈴自身が、物の怪憑きであることが怖くてたまらないことから、依鈴は呪いを取る方法を探しているのだなぁと思わせる回。そして、それを慊人は看破する。この辺り、紫呉は、依鈴は自分のためにという思いを分かっていてミスリードするようなことを言っている可能性があるのではないだろうか。裏の裏という点で、慊人の看破の方が甘いのかも知れない。
相似関係
ひょっとしたら、潑春と依鈴の関係は、互いの抱える傷を互いに舐め合うのではなく、ちゃんと治そうと行動する点で、透と夾の関係の先を行く関係、もしくはアナザーストーリーと言えるのではないか。この相似関係を考えると、少し飛躍するが、由希と透のアナザーストーリーは、楽羅と夾の関係に表れているのではないか。もちろん由希が楽羅で透が夾の関係で。そう考えると、依鈴回でありながら、透回であると言えるのではないだろうか。
出てくる物の怪憑き家族
今回のエピソードで出てくる家族。
燈路の家族：赤ちゃんが生まれる前で、燈路のことを愛してくれる少し天然入った母を持つ幸せな家族
楽羅の家族：少なくとも壊れていない家庭（依鈴談）
依鈴の家族：「どうやって愛したらいいか分からない」と思いながら父母が演じていた幸せな家族が幼少期に壊れてしまって以来、父母に会っていない
燈路の家族も、楽羅の家族も少なくとも壊れてはいない。しかし、脆さがあるか否かは分からない。物の怪憑きの家族の生きづらさは、外からは分からないから。また、「家族」と書いたが、エピソード中に描かれるのは、依鈴の家族を除き母親との関係が描かれているだけである。依鈴の家族についても、父も描かれるが、基本的に母親とのやりとりが描かれている。
燈路の母は、天然入っているが、そんな人でなければ、物の怪憑きの子を心から愛せないというのだろうか。
子供の性格と母親の性格
ところで、子供の性格を見た上で、母親の性格と比較してみる。
燈路の性格：杞紗を守るのは俺だ！系キャラ。
楽羅の性格：単純に夾命と思うキャラ。
依鈴の性格：不器用に發春を愛すキャラ。依存体質とも言える。本人は共依存と考えている可能性あり。
こうみると、この回に出てきた家庭の子供は、皆、同じ物の怪憑きの子供に恋している。それも結構強い想いを持っている。その上で、親の性格を考える。
燈路は3人の中では真面目である。優等生的である。このため、バランス的に親は多少ぶっ飛んでいても良いというか、親がぶっ飛んでいるため、こどもはしっかりしているパターン。
楽羅はその逆パターン。楽羅ぶっ飛んでいるから。優等生は、環境に応じて自分を使い分けられるので、燈路にしろ楽羅の母親にしろ、物の怪憑きについての対応力が高い。
依鈴は、不器用で真面目。これは、母親も同じ。物の怪憑きの子供を産んでしまいながら、親として幸せな家庭をと努力していた。しかし、対応力の高い楽羅の母親と違い不器用であるので、限界を越えてしまったということ。１話の中に、物の怪憑きの子供を産んだ母親の３パターンを詰め込んでいる。また、それに対応する子供の性格も計算されていることがわかる。
救世主
物の怪憑きから解放される方法を探して、紫呉の家を探し回るも何も見つからず、結局、居間で一人怯える依鈴。彼女の怯える心を、何も発せず、ただ抱きしめるという方法で落ち着かせようとした透。救世主である。
このシーン、というか、この回における透のセリフは、「（息を吐く音）」「い、依鈴さんっ！」「（息を吐く音）」だけ。一応、主人公だから登場したが…という程度の扱い。しかし救世主の役割を演ずることで、しっかり主人公の任を全うしている。
【図１】救世主登場！
基本的に透のアプローチは、夾の例で分かる通り、言葉を使って相手を肯定することが多い。しかし今回の依鈴に対する方法は、透の懐の深さを物語る。彼女が十二支に対する救世主であることは、もはや疑う余地はない。
依鈴の吐き気
この描写は、自らの呪いに対する嫌悪感から来るように見えるが、マンガ、アニメ、ドラマで女性の吐き気の描写といえば妊娠がある。タイトルが「キスしよっか」であり、描写にもキスシーンや、潑春と依鈴が１つのベッドに入るシーンもある。そこから妊娠の可能性がある。また、そもそもこの第18話は、燈路の母親の妊娠の話から始まっており、そこをたまたま具合の悪そうな顔の依鈴が通りかかるという展開になっている。このことから、依鈴の妊娠は暗示されているとも言える。ただし、慊人が依鈴を２階から突き飛ばし、かなりの重傷を負わせ、依鈴を入院させていることから、このあたりは明確にされないままとなるのであろう。明確な描写はないが、何かに気づいてから慊人はおかしくなっており、また、これだから女はというようなセリフを言っていることから、慊人がここまでの暴行を加えた理由に妊娠がある可能性はある。
おでん
潑春は、どこから取り出したのだろう。しかも何故おでんなのか。結構難問。
【図２】入手経路不明なおでん
【図３】冬はおでんであったまろ
