アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【フルバ2nd】透における学業の重要性


透の部屋にあるチェストの上のスペースは、透にとって大切なモノが置かれている。幼少時に見知らぬ少年からもらった帽子、英和辞典やノート類、母親の写真、十二支+1の置物の4つ。それらの内での大切さの優先度については、"透の一番大切なモノ…部屋の描写からみる優先度"に書いた。ここでは、4つの大切なモノの中で、英和辞典やノート類は、帽子に次ぐ大切なモノという認識がされていると結論づけた。十二支の置物はともかく母親の写真より勉強道具を優先して位置付けているのは意外である。これは何故なのか掘り下げてみる。

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勉強道具の特殊性

描かれている勉強道具は、左から、英和辞典、ノート5冊、小さめのバインダーもしくはクリアファイル?1冊、大きめのバインダーもしくはクリアファイル3冊。何れも、高校の授業において必須の普段使いの道具であると思われる。思い出のキャップ、母の遺影、十二支+1の置物は、基本的に持ち出したり利用したりせずこの場所から動かすようなものではない。少なくとも部屋から持ち出すことは余り考えられない。しかし、この勉強道具だけは、授業に持ち出すもののはずである。この意味は何だろうか。

勉強道具が意味するもの

勉強道具が他の大切なものと比べて特殊なのは、他の3つは人と結びついているが、勉強道具だけは直接人と結びついていない点である。

キャップは幼少時、迷子になった時に助けてくれた少年と結びつく。遺影は母親と結びつき、十二支+1の置物は、草摩の物の怪憑きに結びつく。このように直接的に個別の人と結びつく。しかし、勉強道具はそうならない。透にとって、勉強に関係する重要なことは、高校を無事に卒業するという母親との約束である。つまり、この勉強道具は、ほかのモノが直接的に人と結びつくのとは異なり、母親との約束と結びつくのである。

母との卒業の約束

透は母と高校を卒業することを約束している。ここには、透の母の思いが込められている。そのため、透には高校に行かないという選択肢は頭の中にない。英和辞典とノートやファイルは、この高校での学びを象徴するものである。

母の遺影より勉強道具が優先する理由

これは、透に高校を卒業して欲しいという母の思いのほうが、姿を映した遺影よりも透にとっては重要であるということである。して写真に向かい母と対話することも透にとっては重要ではあるが、母との約束は、その上であるということ。なぜなら、高校を卒業して欲しいという母の願いは、まさに生きていた母本人が願い、約束したことであり、遺影に対し語りかけたり、母のことを想うという、もう生きてはいない母親への対応とは、重みが違うのである。このため、透は、何は無くとも高校卒業を優先するのである。

キャップの重み

上のように考えると、更に上に置かれているキャップの扱いが問題になる。これは、別なチェストに置かれていることから、別格と考えることもできる。確かに母親や十二支+1とは異なり、現時点でキャップの少年は誰だか透は知らない。まあ、キャップの少年を命の恩人と考えている節もある。透の気持ちを離れ、ストーリー的に見れば、透、由希、夾の「フルーツバスケット」の主要登場人物である3人の関係についての重要なアイテムとなるのがこのキャップなので、別格扱いするのは当然ということになる。