アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【フルバ】ep.21「あったんだ。確かに」


遂に、透の部屋に置かれる帽子の秘密が明かされる。また、由希から見た透について、出会いから現在までが説明される。
なお、このep.21は、マンガ版第15巻の冒頭84話、85話をカバーしている。

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マンガ版との違い

マンガ版第14巻ラストの由希の独白「僕は『お母さん』を求めていたんだ彼女に」が、アニメ版ep.20ラストでは、「俺が彼女に求めていたのは…」に変えられていたため、マンガ版15巻では、結論を教えられた後にその理由が明かされていく形だが、アニメ版では、理由が明かされた後に結論を教えられる。

慊人

慊人の幼少時の行動も明かされる…が、まあ、慊人は怖い性格ということをすでに分かっているので、こんなのはどうでも良い(個人的感想)。

由希の母親

このep.21を通じて、由希は母親から見捨てられたと自覚していく。うーん、透に母親を求めるのも分かる気がする。

母親・"ともだち"を求めること

由希は、幼少時から、この2つに飢えていた。そこに再び現れたのが透。この透とのやりとりも、ざっと描かれ、由希の透に対する気持ちがようやく明かされる。

側に近くにいて 俺の こんな俺の言葉をきいてくれた
呆れるでも叱るでもなく 何度も何度も…何度も受け止めてくれた…愛しい人
あの空のように近く 遠い
「お母さん」みたいに

本来、この年頃の男子が女子に抱くのは、恋心であるはずが、由希は幼少期の無条件の愛による肯定体験がないため、母親を求めていたと言うこと。故にファンクラブ「プリンス・ユキ」が結成されるほどモテても、相手の女子は由希に恋人を求めるため、由希にとっては対象外となってしまっていたと言うこと。そもそも抱きつかれたら困るし。また、付かず離れずのスタンスを取ってくれる透に、"ともだち"要素も求めていたのだろう。そして、透に母親を求めていたため、そこには母への愛情はあっても恋人に対するような感情とは違うということだろう。

悩みを共有すること、癒しをまとめること

真知も母親に対し問題を抱えている。このため、由希と真知は、似た悩みを抱えるという共通点がある。この共通点は、透との関係とは違う。透に対しては、由希は癒しを求めている。この違いが、これまでも、これからの由希と透の関係にも影響を与えていく。

透の部屋の帽子が3人を巡り合わせる

由希が被っていた帽子が透の手元にある理由が描かれる。また、その帽子が元々夾のものであったことも。このことを透はまだ知らないが、由希は早い段階で知っていたことも分かる。

これは、結果的に由希が透と夾を引き合わせたことになる。物語もこのep.21で大きく展開しているが、由希は透に母親を見たと言ってしまっており、作者側が、由希と透をカップルとして成立させる気がなさそうなことに気付かされるものとなっている。そう考えると、やはり由希は、透と由希を巡り合わせる役割でしかなくなる。幼少期は、帽子の運搬役として、高校時は、透を同級生の同居人とすることによって。由希は非常に豪華な引き合わせ役ではある。

由希が夾の帽子を被っていたこと

これは夾に対する愛憎相半ばする感情からのものだろう。友達に囲まれる夾への羨ましさと、ネコ憑きであることに対する蔑みが混ざった複雑な感情…これらが混ざった上で、夾の帽子を被っていた。そしてそれを幼き日の透に渡した。この意味の解釈は難しい。自分の抱えられない感情を見知らぬ少女に投げ出したというのが正解かもしれない。そして、それが何年か経ち、少女が救いに来てくれたと。この帽子を初めて透の部屋で見つけたとき由希は、どう思ったか…がポイントになるが、よくわからん顔してる。