アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【俺ガイル完】第8話 負けあい勝負の行方


遂に出てきたスクールカースト上位(ジョック)の面々。葉山、三浦、海老名。待ってたよ!まあ、ほどほどに出てくれて満足。しかし、そんなことはお構いなしに話は進む。問題が1つ解決したら、より本質的な問題を突きつけられる。八幡・結衣・雪乃の3人はいま、こんな状態。

八幡の感情

雪乃を助けるのは「男の意地」と言う比企谷。「男の」が付いているから、恋愛感情的なニュアンスを感じとっても良いのかもしれない。

ジョックへのアプローチ

葉山へは八幡が、三浦と海老名へは結衣が協力を要請する。その結果が、三浦と海老名のみの協力を得ることになる。しかし、葉山は、陽乃にアプローチするという方法で、彼なりの

コンサル陽乃

これまでもそれらしいことはしていたが、陽乃が初めて、二重スパイでなく完全に雪乃というか八幡側についたと思われるそぶりを見せる…のだが、読み間違いの気のせいかもしれない。

プロム

雪乃の母親は「保護者の方たち」に担ぎ出された駒…なのかぁ。そんなことはなくて「保護者の方たち」は雪乃の母親自身ではないのか?まあ、物語の結論に変わりがないのだけれど。

共依存の自覚

陽乃の指摘した、八幡、雪乃、結衣の3人は共依存の関係にあるという指摘。八幡と結衣は、否定するも、雪乃はその自覚があるようだった。だから3人の関係を終わらせようという方向に行く。

負けあいの勝負

八幡:だから まあ 俺の負けだな
雪乃:ええ あなたの勝ちね

で始まる八幡と雪乃の勝負の負けあい対決。最終的に、というか、一時的には、雪乃の勝ちということで雪乃の願いを語ることになるのだが…雪乃が自分の願いを聞いてくれと言いだしたら、そうはならないだろと八幡がゴネて、雪乃に「じゃあ あなたが決めて」と言われると、八幡は動揺し、自身の願いを言うことを避けようとする。しかし雪乃は逃さない。今度は奉仕部での活動が楽しかったと言い出す。

私は大丈夫 もう大丈夫 あなたに助けてもらえた だからこの勝負も この関係も これで終わりにしましょう

明らかに雪乃の負け宣言である。しかしそれを受ける八幡のセリフはまたも負け宣言である。

分かった 俺の負けだ お前の言うことを聞く

こいつらいつまで続けるんだよ。と思ったら

ここで決着がつく。

由比ヶ浜さんのお願いをかなえてあげて

この雪乃のセリフでこのグダグダ勝負は終わり。八幡も了承する。しかし、結衣の願いは「全部欲しい」だからタチが悪い。3人は、ぐるっと回って元の位置に来ることになる。

終わらせようとする雪乃と続けようとする結衣

結衣は陽乃との会話で「ずっと一緒にいたいから」と言っているように、結衣の願いは3人がバラバラにならないこと、つまり今のままでいたいということ。一方、雪乃は心の奥底はともかく、3人は今の関係でいてはならないと考えている。

共依存について

この言葉が、結衣さえ縛り始めたが、この言葉の破壊力は未知数。この段階で、結衣は3人の関係を共依存ではないと信じている。八幡はどちらとも分からないと考えている。そして雪乃は共依存だと信じて疑っていない。

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晴れ渡る空!雪乃は1人勝手に共依存から抜け出すこと考えて、心晴れ渡っている…みたい。その決断が、他の2人が地獄の苦しみになるかもしれないのに。

落ち着きのない陽乃

陽乃は、八幡に対しても葉山、結衣に対しても、このまま進むのは3人の関係にとって良くないと警鐘を鳴らしていると捉えられる。これまでの言動から、陽乃は、基本的に雪乃のことのみを考えている。これを合わせ考えると、陽乃から見れば、このまま進めば雪乃はまた1人になると考えているのだろう。そして陽乃は、そうならないように足掻いているように見える。陽乃自身に余裕がないのかもしれない。落ち着いていてもまだ大学生なので。

陽乃の言うホンモノとは何か

雪乃が楽しかったと言った奉仕部での日々。これは雪乃にとっての初めての経験づくしであった。初めてであればぎこちないし、対応もわからないことだらけである。しかしそれを楽しいと思った。これは恐らく八幡にとっても同じだろう。ならば、続けるべきだ。雪乃も八幡も一通りの振る舞いを覚えた。ならば2周目に進めば良い。2周目ならば、分からないことだらけとはならない。そしてこれが本物の関係になりうる。その意味で、結衣の存在は大きい。陽乃が結衣との1対1での会話で語ったように、結衣は他の2人と違う。しかもジョックに属している。周りの目を気にしたら並ぶ者なきほど。そんな人付き合いのプロと雪乃と八幡は一緒にいた。雪乃は八幡に感謝の言葉をかけたが、結衣からは、少なくとも八幡からは得られないものを得たはずである。故に雪乃は結衣にも感謝すべきである。2週目を3人が望めば、それはホンモノになるだろう。

高校生活はまだ1年ある

彼らは今、高校3年に上がる直前。まだ同じ校舎で1年学ぶことになる。ここでの判断が高3の1年間を左右する。当人たちは気づかないかもしれないが、これは人生において重要な時なのである。そして、この高校生活最後の1年が、3人にとって2周目に相応しい日々として待っている。

結衣の存在

結局、陽乃が一番ひどい共依存と呼んだ、八幡が結衣に依存し、それを結衣が嬉しく思っているという関係が有ってこその、八幡と雪乃の関係だったのだろう。雪乃が八幡に救ってくれてありがとうと言いつつ、勝った方の望みを聞くという件では、結衣の望みをかなえることを希望するというのは、雪乃も3人の関係の一番重要な要が何かを知っているということ。

これを裏打ちするのは、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」において、この第8話にして初めて、スクールカースト上位の葉山、三浦、海老名が登場したこと。ここに結衣の、実は他人に合わせているだけかもしれないが、少なくともスクールカースト上位に居られるだけのコミュニケーション能力の存在が可視化されている。そして、そんな結衣が、八幡と雪乃のところに舞い降りたこと…このことの意味に恐らく最初に気づいたのが陽乃なのだろう。

結衣がいなければ、奉仕部は、傷を舐め合っては傷つけ合う生産性のない部になっていたであろう。