父親の命日のため深間市の実家に帰省するハルキ。父親のことを思い出したり、家族的な考えさせる話。視聴のメインターゲットとなる子供には怖い話かもしれない。これ、親が子を守る話だけでなく、子が親を守る話でもある。
- 郊外の住宅街での戦い
- 子を守る親
- 任務に向かう子
- ハルキの母の気持ち
- 自分が怪獣にされたことを、怪獣にしてしまった気持ち
- ヘビクラの見通し
- ストレイジおよびウルトラマンZの理屈
- レッドキングに対する各々のスタンス
- 深間市
郊外の住宅街での戦い
怪獣との戦いの場が本当に住宅街なのが、これ、怖い。この家々に家族の誰かが残っていたら、家族全員がダイニングテーブルの下で怯えていたら、親が必死に子供を守ろうと覆いかぶさっていたとしたら、と考えるとホント怖い。
何でこんな演出するのだろうと思ったら…
子を守る親
レッドキングが2体出て来ていた理由。卵を守る父と母だった。そのうち1体は、ハルキとウルトラマンZが倒してしまう。このことにハルキは気づく。住宅街での戦いは、レッドキングが子供を守るために戦っているのと同時に、住宅街に住む家族の中でも、父親、母親が、子供を守ろうと戦っていることを「住宅街での戦い」他することで暗示しているのだろう。この描写、怖いくらい良くできている。そして、これに気づいた視聴者に対して、ウルトラマンは…何で戦っているのか?山の中でじっと眠っていたレッドキングを人の都合で目覚めさせ、そして倒そうとする合理性は何か、地球の平和とは何かという問いを投げかけている。怖い演出。
任務に向かう子
ストレイジに身を置くハルキは、怪獣襲来となれば、戦いに向かうことが仕事。休暇中にも関わらず、ヘビクラの指示で対応に向かう。このことに何の疑問も無いことにハルキの危うさがある。これでハルキが死んだら、自分の母親は、同じ理由で夫と子を亡くすことになることを。まあ、ストレイジに勤務している時点でアレなのだが。
ハルキの母の気持ち
怪獣により夫を失ったハルキの母。その夫の命日に怪獣が出現し、夫と同じように人々の避難を助けに向かうハルキ。
ハルキ:母さん 急いで避難所まで移動して
母:アンタはどうすんの?
ハルキ:仕事!
母:ちょっと!気をつけなさいよ!
ハルキ:ああ
この一瞬の会話、母親はどのような気持ちだったのだろうか。これが最後の会話になる可能性もあった。今回、子供を守ろうとする親の描写はあったが、この点の掘り下げはほぼ無かったのが残念。ちょっとしたら、怪獣により夫を失った命日に、一人息子も失った可能性まであるのに。
自分が怪獣にされたことを、怪獣にしてしまった気持ち
子供の頃、怪獣から家族を、他の人々を救うために犠牲になった父を持つハルキは、子を守る父を誇りに思っていたが、レッドキング1体を倒している。そのレッドキングが守ろうとしたのが自分の卵だったことを知り、複雑な気持ちになるというストーリー展開。上手。住宅街での戦いに意味があったことがわかる。
ヘビクラの見通し
ウルトラマンZが、キングジョーの攻撃からレッドキングを守ったことに対し、ヘビクラは次のように言う。
ああ…ありゃもたねえな
さらにこうも言う。
レッドキングは卵とともに消えた。次に現れたとき再び人間を襲うかもしれないと言う可能性を残してな
ヘビクラはまるっとお見通しよ。ただ、「ありゃもたねえな」は、ハルキが今後もウルトラマンZとして戦うことがもたないということだろう。ハルキの思考では、怪獣が暴れることにも理由があると知ってしまったことが大きい。しかも親子の情絡みで。
ストレイジおよびウルトラマンZの理屈
ストレイジにしろ、ウルトラマンZにしろ、地球を人間が平和に暮らす星として考えた上で、地球の平和を乱す怪獣が現れたら退治するというスタンスを取っている。しかし、今回のレッドキングの場合、レッドキングが山の中で眠っていたにも関わらず、人間がその山を爆破して崩したために目覚めたという流れになっており、人間がレッドキングの平和を乱したことがきっかけである。故に、怪獣を地球の平和を乱す者とする普通のロジックは使えない。ハルキはそのことに気づいてしまったということ。物語はこれから「もたなくなるハルキ」を描くことになろう。
レッドキングに対する各々のスタンス
ウルトラマンZ
地球の平和を乱す者だから倒して当然と考えている。
ヨウコ隊員他ストレイジの面々
ウルトラマンZと同じ。
ヘビクラ隊長
ストレイジの標榜する地球の平和は、人間のみにとっての平和であるということを理解した上で、その考えに従っている。
ハルキ
これまでは、ヨウコ隊員と同じ考えであったが、ストレイジの標榜する地球の平和は、人間の都合の良い平和であり、地球の他の生命についての平和は考えていないと気づいたところ。
深間市
埼玉県深谷市と入間市の合成ですね。