アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【フルバ2nd】ep.24 「真知がいた」


「由希は俺の初恋だから」「うおちゃんの分ですっ!」と、過去2シーズンにおいて2話しかない個人名がタイトルについた回。早く来てしまった生徒会の皆との待ち合わせ場所に真知がもう来ていたという由希のセリフを抜き出したに過ぎないが、それをタイトルにすると、途端に意味を持ったセリフになる。

透の次は真知に向かっていく由希

由希は「優しい」。(by はとり ep.24額治療中)この優しさのためか、何かを内に隠す者を敏感に見つける。そして興味を持つ。男だと翔のように付き合うことになるのだろう。そして、女性に対しては、これまでであれば同居初期の頃に透にしたように接するのだろう。そして、今は真知が、何かを隠す者として由希が気になる女性なのだろう。由希の真知への接し方は、以前の由希が透に対してしていたような接し方になっている。これはおそらく無意識で出る対応なのだろう。由希は相手の心の中に隠すものに無意識で気づいた上で接してくるので、客観的には異性として少しは気があるような好意ある対応に見えるが、少なくとも最初は、そんなことはなく、性別により対応が異なるだけで、極端に言えば、翔に接しているのと同じように接しているつもりなのかもしれない。

「真知がいた」というタイトルの意味

そもそもストーリーの表面上は、単に待ち合わせに早く着いたけれど、そこに間違いだという程度の内容である。由希は、無意識に自分が守らなければならない女性的な存在を必要としているのだろう。透は最初はそういう存在であった。しかし、一緒にいる内に、自分が守ってもらう側になっていることに気づいた。それで次の守るべき存在を探していたところに真知がいたということ。これは、待ち合わせのシーンの後に描かれる、慊人とのエピソードで強化される。由希が「…ごめん 君の処へ 俺は決して帰らない」と言っている。これは、透に会う以前、由希は、無意識に自分が守らなければならない女性的な存在として慊人を見ていたのであろう。それが、透に移り、真知へと変わった。「君の処へ 俺は決して帰らない」は、もう由希にとって慊人は、前の前の彼女みたいな過去の人になっているのである。いずれにしても、少なくとも慊人・透・真知は、由希からみて守るべき女性的な存在として認識され、実際にそうして来たのであろう。そこに愛情はあるかもしれないが、少なくとも最初の段階では男女の愛はない。慊人との関係は、自主的なものではなく、周りから役割として与えられたもの、透は変わった行動をとる透への自身の興味から、真知は由希自身が内に抱えるものを真知が見抜いているように感じ、真知にも自分と似たものを見出したから…というのが関わるきっかけであるように見える。

黒とグレーと白

真知との駅の待ち合わせ。舗装された道。由希はグレーの面に立っていて、真知も最初はそのグレー(厳密にはグレーと白の境目のグレー寄り)の舗装の上に立っているのだが、由希に「真知がいた」と言われ、慌てて足をもつれさせながら白い面の方に逃げる形で倒れる。このとき、由希はグレーのコート、真知は白のコートを着ており、この舗装の色はそれぞれの何かを表していそうである。何か…何?

由希と会う直前に真知は自問している。

私はこの世に必要ですか?

由希のグレーが、「この世」側なのか違う側なのか、もしくはそれとは別の「由希」の側なのかで意味が変わるが、このシーンの前に、

この世に参加していないのは 私?

と真知が言うシーンがあり、その時、周りの人々はグレーを通り越して黒っぽく描かれ、真知のみ光が当たり、そのコートの色から白っぽく見えるので、舗装の白は真知、グレーは、由希個人、黒は「この世」の人々全般だろう。真知が駅の建物から出る時、建物内は黒っぽく描かれ、そこから出るところの舗装の色はグレー、さらにその先に白の舗装がある。これは、今の真知、由希のこの世に対する立ち位置を表しているのだろう。真智が看破した通り、由希は、内にこもるのではなく外へのアプローチを意識して始めている。生徒会活動もその一つ。変わっていく由希を見て自分を見返しているのが真智の現状。それを色で表しているのが、この待ち合わせのシーン。紅葉のしおりの件で真智をからかい気味に攻めているのは、由希が「この世」の人々側の感覚を持って行っており、内の世界から出ることが由希より遅れている真智は、それに対してアタフタするのである。

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【図1】真知の白い服、由希のグレーの服。舗装の白とグレー。駅の中の黒。

携帯というかスマホ

打ち上げの連絡先を伝達する方法が、マンガ原作では紙のメモだったが携帯通信で、街中の人も手にするのは紙の何かから、携帯というかスマホとなっている。ただし真知は携帯を持たないのでメモをもらっている。原作の方もなかなかで、由希も翔もメモを見ただけで憶えておしまいでメモを写すことはしない。

マンガ原作との対応

第16巻の後半1/3。