「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」最終話における最大の収穫は、いろはと小町が初顔合わせすること。対八幡においては、初期からかなり深いレベルでコミュニケーションを取っている巨匠レベルの2人。この2人が、何故か最初はマウントを取り合う形で互いの値踏みをし、互いの能力を認めた上で共同戦線を、この最終話の短いサブストーリーの中で張っていくのが素晴らしい。
【図1】こいつら2人の笑顔の裏にあるものは想像がつかないスケール感
なぜ小町はいろはをいなせるのか
初対面からいろはの言葉攻撃をいなすことができたのは、小町が初のはずである。それだけではなくジャブまで打ち返している。これは、これまでめんどくさい兄の対応を日常的にしてきたため、変化球ばかり投げてくる会話相手でも易々と対応できるということだろう。この子猫が2匹、かわいい牙を見せながらもじゃれ合う感じのシーンは秀逸である。
なぜいろはは小町の切り返しに対応できるのか
いろはは、昔のいろはだったら、小町の変則的切り返しを受け止めることはできなかったであろう。いろはに切り返す者などあまりいなかったであろうから。しかし、八幡はそうではなく、いろはの中にまでズカズカ入り込む切り返しをしてくる。だからこそいろはは八幡を認めているし、その八幡の切り返しの芸風も把握しつつあっただろう。この芸風は、八幡と小町の間で磨かれたものであろうから、当然、小町の芸風でもある。結果的に、いろはは、小町の普通人にとっては意外性の切り返しも、八幡で積んだ経験でこなせるので、それほど困らず対応できるということになる。
小町といろはの凄さ
彼女らの凄さは、初対面の時は互いに値踏みするようにマウンティングの取り合いをしていたが、互いの力を認めると、その段階をすぐに終え、共同戦線を張る点である。この両者の人を見極める能力と切り替えの速さは尋常ではない。その後はもはや阿吽の呼吸である。
八幡と雪乃が見落とした結衣との関係も気にしている2人
八幡と雪乃は、付き合い始めたら途端に結衣のことを忘れたかのような態度(≒描写)となっている。ここに、ちゃんと目を配っているのが、いろはと小町。クラスも変わってしまい、器として3人を結びつけるのは、奉仕部しかない。そこを正しく突いてくる2人。本当にこの2人は八幡のことを好きなのだなぁと感じるエピソード。しかし、八幡と雪乃は、いきなりデレモードに入って周りが見えていないかのような状態であり、これ、本当に最終回で良いのかというレベルの堕ち方だと思う。