最終章。ラビリンの心の強さが光る回。ラビリンの人の心を読む力、以前からそうだったが、本当に抜群に優れている。そして、のどかの強さも光る。
これは即ち、今回は、『ヒーリングっど♡プリキュア』で過去最大のシリアス回。かなりヘビィな話が展開された…のだが、1名、これまで通りのペースの人がいた。この人のTPOわきまえないメンタルすごい。ただし、この人、自分の意思で、キングビョーゲンを慕っている。自我を失うことになるキングビョーゲン内の取り込みは、いざ自分が取り込まれる段になると抵抗する気がする。シンドイーネさんからは、それほどの我を感じる。そして、その我がキングビョーゲン攻略の鍵になりそうな。
【図1】場をわきまえないマイペースに生きる人
前回、ダルイゼンに匿ってくれと助けを求められるもの、拒否したのどか。
翌朝も顔色が悪い。何でもないと言うもの父母に体調を気遣われるが、朝食を残したまま学校に出かける。全てを知っているラビリンは心配して後をつける。
理科の実験でリコーダー
これは流石に無い。直ぐに病院に連れて行くべき状態。学校側何してる!
【図2】理科の実験でリコーダー
パートナー
ちゆとひなたは、ラビリンはパートナーだから、何かあれば最初に話すだろうとラビリンを励ます。
半分言い当てるラビリン
のどかが苦しむのは、のどかがダルイゼンを助けたいのに助けなかったからだと言う。しかし、それは半分正解。しかし、のどかは、自分が苦しい経験をしたく無いから逃げたと言う。これを聞き、ラビリンはのどかを導く。素晴らしい導きの才能を示す。
ラビリンのお導き
ラビリン:のどかはダルイゼンを助けたいラビ?
のどか:そうした方が、よかったんだと思う…
ラビリン:そうじゃ無いラビ。のどかの気持ちを聞いてるラビ
のどか:無理…わたし、どうしても嫌!嫌なの!
ラビリン:だったら助けなくていいラビ!なやむ必要もないラビ!のどかが自分を犠牲にしなきゃいけないなんて、そんな義理も責任もないラビ!のどかは十分頑張ってくれてるラビ。それはラビリンたちがよーく知ってるラビ。もしのどかに何か言ってくるヤツがいたらラビリンがぶっとばしてやるラビ!だからのどかは自分の気持ちも体も大事にしていいラビ。のどかが苦しまなきゃいけない理由は、ひとっつもないラビ!
引用長くなったが、これはもう、名シーンすぎる。単純な正義、悪では分けられない、生き方の価値観に関わる話をラビリンは語っている。うーん、プリキュアのメインターゲットの年齢が下がっているらしいが、このラビリンの凄さ、わかるのか?
まず、のどかにダルイゼンを助けたいか聞く。のどかの答えは、「そうした方が、よかったんだと思う…」という優等生的なもの。しかしラビリンは、追撃する。べき論を聞いているのではなく、のどかの気持ちを聞いていると。そして初めてのどかの本音、どうしても嫌!を引き出す。ラビリンの対話力!
しかもそれだけで終わらず、今度はのどかを徹底的に肯定しまくる。特に「もしのどかに何か言ってくるヤツがいたらラビリンがぶっとばしてやるラビ!だからのどかは自分の気持ちも体も大事にしていいラビ。のどかが苦しまなきゃいけない理由は、ひとっつもないラビ!」は、これまで見返りを求めず戦ってくれたのどかへの信頼と感謝の気持ちが溢れている。
義理と義務
ラビリンが、義理と責任がないと言うの可愛いと言うか、ちゃんと事実を踏まえている。普通は、義務と責任。ここを義理にしている点が、制作の意図のような気がする。義務は、通常、契約によって発生するもの。しかし、のどかがプリキュアとして戦っているのは、契約に基づく義務ではない。だからそもそも義務など始めから無い。何かあるとすれば、ラビリンと思いを共通することになるが、それは、義務ではなく、どちらかと言えば義理に当たる。
ダルイゼンの進化
逃げ場を失ったダルイゼンは、手持ちの全てのメガパーツを体内に取り込み巨大化する。グアイワルと違い、正気を失ってしまっている。これをのどかは何とも言えない表情で見ている。それを見たラビリンは直ぐ、
のどかのせいじゃないラビ!
と言う。のどかはハッとしてウンと頷き正気を取り戻す。ラビリン強い。
助けを求めるダルイゼンと拒否するグレース
なんということ!過去のプリキュアで、助けを求めた敵中ボスに対し、拒否するプリキュアがいただろうか。これ、エポックメーキングだ!
グレースの体内に匿ってくれと言うダルイゼンに対し、
そしたらわたしはどうなるの!?いつまで!!あなたがげんきになったらどうするの!?あなたは、わたしたちを、地球を、二度と苦しめないの?
と聞く。その間、ダルイゼンは、のどかを攻撃せず、フォンテーヌたちの攻撃を受け続ける。これ、ダルイゼンの宿主への思いなのか、そもそも宿主を痛めたら自分の得にならないと言う割り切りなのかわからない。そして、グレースは次のように言い切る。
わたしは、やっぱり、あなたを助ける気にはならない!ダルイゼン、あなたのせいで、わたしがどれだけ苦しかったか、あなたは全然分かってない
のどかは、気持ちの問題が大切だと考えているようだ。「助ける気にならない」「全然分かっていない」と言う表現は、合理性、論理性より、感情に重きを置いていると言える。感情的に許せないと言っているのだ。
これだけでも、これまでのプリキュアにない進展であるが、極め付けに次のセリフを言う。
都合のいい時だけ、わたしを利用しないで!わたしはあなたの道具じゃない!わたしの心も!体も!全部、わたしのものなんだから!
これ、のどかはダルイゼンが原因の病に苦しんだからこそ、そしてダルイゼン自身に罪の意識がないからこそのセリフ。ダルイゼンも好きで寄生していたわけではないだろうが、申し訳なさがないことが、のどかが許せない理由だろう。のどかが、自分の人生を送る際のハンデとなった病の原因となった者に助けを求められても助ける気にはならないと言うこと。その考えは理解できる。
そして縦回転の回し蹴りをダルイゼンに浴びせる。グレース、心も身体も強すぎる。
まあ、分かる。これまでのプリキュアと違い、物語が始まるプリキュアとして選ばれる前にのどかは闘病しており、その原因がダルイゼンであったのだから。人生を狂わされた原因に助けを求められても、都合の良い時だけ何を言うかとなる気持ちはわかる。
ダルイゼンの気持ち
ファイナル!ヒーリングっど♡シャワー!を浴び、浄化されるダルイゼンは次のように叫ぶ。
オレだって…オレの体も…心だって…ウワーッ!
これはダルイゼンの自我。そして、ダルイゼンは、完全に浄化されず、キングビョーゲンがそれを取り込み、ネオキングビョーゲンとなる。
浄化されなかった!と言う発言の衝撃
ダルイゼンに放ったヒーリングっど♡シャワーは、ダルイゼンを完全に浄化するものではなかった。その時、浄化されなかった!と言うのだが、これ、なかなかのセリフ。これまで浄化したバテテモーダ、ネブソック、ケダリーのいずれも、再登場はない。プリキュアたちは、ダルイゼンも、倒したら無に帰す、真の悪として認識していると言うこと。その意味では、ウイルス等が化体されたものが、ビョーゲンズであるので、そな人格は尊重する必要なしという認識なのだろう。
キングビョーゲンの挑発とグレースの返し
ダルイゼンを見すてながら、地球のみんなと全てを守ると言うか。ずいぶんな思い上がりだ
と言うネオキングビョーゲンに対し、グレースは、こう返す。
ダルイゼンを追いつめたのは誰?あなたに言われたくない!そんな言葉には負けない!わたしは絶対あなたを浄化する!それがわたしの、今の気持ちだよ!
予告の不気味さ
「私たちが守らなきゃ」とのどかが言い、ラビリンの「でもどうやって…」が続く。それを受けるように「わたしに考えがあります」と言うアースの声。そして最後にのどかの「アース!」という声で終わる。何か嫌な予感がするのはわたしだけ?