アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

村上隆氏の会社倒産危機は炎上商法ではないのか?


現代美術家である村上隆氏の会社が、COVID-19の影響により倒産の危機に瀕しているとインスタグラムで発表している。

●村上隆氏が倒産の危機を語るインスタグラム

ニュースになっていない

村上隆氏の会社倒産危機の話題は、新聞テレビ等マスメディアのニュースで取り上げられることもなく、言い方は変であるが、何か盛り上がらない。

そもそも、村上氏は、このインスタ投稿で、倒産の危機に陥っているため、現在着手しているプロジェクトを中止するということと、自らの失敗について何編かの動画にして配信すると言っている。その上で、その動画の1つも公開している。にも関わらず

炎上商法?

これ、実際には、村上氏の炎上商法ではないかと思われるフシがある。大金のかかるプロジェクトは中止するが、代わりに動画を何本か公開すると言っている。宣伝だなぁこれ。

そもそも理由が少し変

村上氏の説明する、会社倒産危機の理由が、COVID-19というのもなんというか変。大規模プロジェクトは、そもそも長期企画であり、中断はともかく、それでそんなに資金がショートするのかという疑問が湧く。その割に、動画をすぐ出してきているし。

輝かしき栄光

過去に「My Lonesome CowBoy」(1998年)という等身大フィギュア作品がサザビーズオークションで、16億円で落札されたという出来事も2008年にあった。作品の完成度、造形という点では、今ひとつという感じである。偉大なるカーネルサンダースという等身大フィギュアを生み出した米国で、あの完成度で評価されたのは、まあ、扱った題材のインパクトであろう。「アニメフィギュア風+露骨な性的イメージ」という、それだけでもお腹いっぱいなインパクトであるが、それを等身大で提示してくるという見せ方が、当時としてはエポックメイキングだったと。日本の現代美術家としてトップランナーの地位を確立する。

着眼点は良いがクオリティがね…

今見ると、「My Lonesome CowBoy」を始めとした高額落札価格を付けたフィギュアも、作品のクオリティとしては、現在の市販品等身大フィギュアと比べてかなり酷い。美術品として考えると、エポックメイキングな作品とはいえ、クオリティが明らかに低いのは痛い。
また、ライフワーク的に製作されているアニメ「6HP」(シックスハートプリンセス)もクオリティが…。これ、2010年のベルサイユ宮殿での展覧会においてヴェールを脱いだ注目作であったが、全15話の予定が、2017年から放送開始されるも、2019年までに、未だ第7話しか完結していない。そもそも6HPのパクリ元であるプリキュアは、年間50話近く製作されているのである。しかも、プリキュアは年々技術進化している。エンディングのダンスシーンを見るだけでそれが分かるほどに。現代アートとしての価値をどう出すかにおいて、時間を掛けているうちに6HPの進むことのできる道がものすごいスピードで狭くなっているのではないだろうか。モチーフとした大量生産品のプリキュアの方が、アートな6HPよりクオリティが高いというのはシャレにならない。

撤退戦に都合よく出てきたCOVID-19

故に、未だ半分しか話数が進んでいない6HPは、撤退戦となっていたのではないだろうか。ここにタイミングよくCOVID-19が出てきたので金銭的行き詰まりを理由に切り上げを狙ったのではないのかと考えることもできる。

村上氏のビジネスモデル転換先はリアリティ番組風動画

フィギュアも魔法少女アニメも技術的古さを感じさせるものとなってしまった今、村上氏が取った策が、自らの失敗を動画に残すということ。これ、考えて見ると、リアリティ番組のテイストも混じった有名人の成功/失敗ドキュメンタリーテレビ番組だな。しかし、そもそもリアリティ番組の手法は、もう使い古されて新しさもない。これをアートに昇華するのは技術が必要。

生温かく見守るのが最善策ということか

こうなると、生温かく見守るのが最善策ということになり、日本の新聞テレビ等マスコミの対応が理解できる。視点が売りで、作品の技術は二の次の現代アートを生きる現代美術家は、多くの人の目を引きつけることで輝くが、村上隆氏に、その神通力がなくなっているということではないか。