アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【俺ガイル完】第2話 兄属性としての八幡


雪ノ下雪乃が、自分の足で立ち、歩き始めた。めでたしめでたし…なのか?嫌そうではない、次は、由比ヶ浜結衣の悩みが増幅している。

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これからの私たちについて

自分のマンション前で陽乃に会った雪乃が、話したいことがあるからと、八幡と結衣を伴い自室に上がる。陽乃から「それで 話ってなあに?」と問われ、雪乃は「私達のこと これからの私達について」と答える。「ヘえ〜それを私に聞かせてくれるんだ」と陽乃は返す。陽乃は、雪乃の言う「私達」が、雪乃、八幡、結衣のことだと認識していたから。視聴者も、このシーンには、陽乃、雪乃、八幡、雪乃しかおらず、また、構図的に、陽乃対他三人となっているので、陽乃と同じように考えたはず。ところが雪乃は、「ええ 私と姉さん それと母さんの話だから」と返す。つまり、視聴者も、陽乃同様に見事な演出上のミスリードに嵌められるのである。これにどのような意味があるのかと言うと、陽乃は、珍しく酔っている。しかもこのフイを喰らったミスリード。これで、陽乃がいつものような対応ができなくなることに説得力が出るのである。ここからの陽乃の表情は、いつもと若干違い、雪乃の発言に圧される形になり、更に、これ以降、陽乃の言動が変わる。この心変わりを最初に象徴するのが上記のミスリードなのである。雪乃がリードし始めたと言うことである。ただし、陽乃本人が言うには、酔えないと言うことで、酔って見えたのは演技ということかもしれない。

葉山と陽乃

第2話冒頭の葉山と八幡の学校内自販機前のやりとりは、陽乃から葉山へマンションでのやり取りが筒抜けだったということ。

陽乃と八幡

陽乃は「いいなあ。こんなお兄ちゃん。私もほしかったな〜」と言っているが、あながち嘘ではないだろう。雪乃には嫌味であったりするとはいえ陽乃という先行して生きている姉がいる。しかし陽乃は第1子長女でありそのような存在はいない。雪ノ下家で生きることについて自分で切り開くしかない。そう考えると陽乃が八幡の兄としての面倒見の良さを欲しかったというのは分かる。そして、陽乃・雪乃という超絶ハイレベル姉妹に、兄のように頼りたいと思わせる八幡の「兄力」の強さ。これは、第1話で、小町が八幡に有難うと言うシーンにつながる。小町は、実際に八幡の「兄力」の凄さを知っているため、あの様に仰々しくさえ見える感謝の意を表明したのだ。本来、時間軸的には、第1話のマンション前の陽乃と雪乃たちのエピソードの後、マンション内での雪乃の独白に繋がるはずだが、それをわざわざ第2話に回して、この小町のエピソードを第1話の後半に持ってきたことにより、八幡の「兄力」が際立つ。

兄八幡

冒頭のシーンでの葉山と八幡のやりとり。これ、中盤の陽乃と八幡のやり取りと呼応している。

葉山と八幡のやり取り

(葉山)聞いたよ
(八幡)うん?
(葉山)大変だったみたいだな。少しは肩の荷が下りたか?
(八幡)あ…何が?ああウチの妹か
(葉山)違うよ。そっちも大変だったかもしれないけど。ああそうだ。妹さんに受験お疲れさまって伝えておいてくれないか?
(八幡)嫌だよ。何でだよ。何でお前の言葉伝えなきゃいけねえんだよ。でも気持ちは嬉しいありがとう
(葉山)まさかこんなことでお礼を言われるとは思わなかった。そっちの妹はいいとして、あっちの妹だよ

陽乃と八幡のやり取り

(陽乃)また お姉ちゃんしてしまった
(八幡)いつもお姉ちゃんしてやったらどうですか?
(陽乃)嫌よ。君とは違うの。君はいつも お兄ちゃんしてるけど
(八幡)それはまあ お兄ちゃんですから
(陽乃)【微妙な顔をして】そっか フフッ
(八幡)いいなあ。こんなお兄ちゃん。私もほしかったな〜

八幡の雪乃に対するスタンス

両方とも、八幡は、誰かに何か言われたとき、自分と小町の関係を第1に想像してしまう。「肩の荷が下りたか」と言われれば、それは妹小町のことであり、「君はいつも お兄ちゃんしてるけど」といえば、小町に対しての兄であることが頭に浮かぶ。しかし、葉山が言う「肩の荷が下りたか」も陽乃の「君はいつも お兄ちゃんしてるけど」も、八幡に対して雪乃のことを聞いているのである。「妹」は、葉山と陽乃にとっては「雪乃」なのであるが、八幡は小町なのである。これは大きい。「雪乃」に対するスタンスが違う。葉山と陽乃は「雪乃」に対し、徹底して妹として接している、一方の八幡は、「雪乃」に対して…。八幡の雪乃に対するスタンスは…描かれていない。というより、八幡自身がよくわかっていない。そして、この関係を明らかにすることが、本物探しの一応の終点なのだ。