アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【フルバ2nd】ep.23 「シンデレラっぽいもの!」


マンガ原作第15巻後ろ1/3。ラストは丁度、第15巻のラスト。第14巻の時は、終わり方を変えていたが、今回は同じ。

時代に配慮

オープニングの文化祭入り口の門には、原作は今の時代を考えると、ちょっとLGBTQ的に問題がある表現があったが、アニメでは落とされていた。こういうところに時代を感じる。

シンデレラっぽいもの

‪「シンデレラっぽいもの」は、台本があるはずなのに、夾や透がセリフに一々動揺するのが良い。それだけアドリブが多いということかもしれない。いずれにせよ、ストーリー上、色々な意味を含んだ劇。‬このep.23のラストのシーンは、この劇で自分の思いに気付かされた2人の葛藤が高まって生まれたもの。

真知

由希は、自分のためにいじめられる真知を見る。止めなきゃという気持ちから直接的行動を起こそうとするが、原因が由希であることもあり、翔に止められる。しかし翔はすぐ行動し、間接的に真知をイジメから解放する。翔は真知の兄であるから分かっているということもあるだろうが、この行動力の差は大きい。さすか由希の親友である…が、由希は結果的に何もできなかったことになる。
ただ、由希は何もしなかったのではなく、止めようとした。

そんなことよりあれを止めないと…

と、言っている。しかし、ストレートな対応すぎて、由希が原因のイジメということが分かった対応ではない。これ、コミュニケーション能力の問題の露呈ということかもしれない。絶対権力者である「王子さま」であればこその対応をすべきであるにも関わらず、それができない。これ、生徒会長とかやっているけれど、由希は人の上に立つことが難しい人格なのかもしれない。逆に、このイジメにあっていた時の真知は、自己の由希に対する洞察力に揺るぎない自信を持っており、かつそれは陰で聞いていた由希自身をハッとさせるほどだった。

真知と透

その意味で、由希にとって真知は、理解してくれる者である。由希にとっては翔も同じ。翔と真知が兄妹であることは偶然ではないのだろう。その点で、真知は透とは明らかに違う。透は、由希にとって、無条件で包み込んでくれる、まさに母親の存在。しかし、包むことしかしない。夾にとっては、それは絶対的に必要なことであるが、由希はそれだけでは足りない。その足りなさに由希は気づいたから、透への依存をやめたのだろう。真知は心の中をのぞいてくる。そして、その上で対応してくる。このような人間関係については、もちろんプリンス・ユキとの付き合いではできず、普通のクラスメイトでもできなかった。透との付き合いでも満たされず、結局、翔・真知の兄妹に行き着いたということ。その中でも、必要なこと、もしくは本質的なことしか言わない真知のことに興味が出るのは当然だろう。

ラスト

透と夾が互いに相手のことを思う気持ちを、

夾:まさか そんなハズない
透:そんなコト
透・夾:思う自分を許さない

と2人が心の声で呟いたところで終わる。この場面、表面上は楽しい文化祭のシーンで、透は満面の笑みでの心の中の呟き。このギャップ。互いが相手のことをこのように思うということは…。しばらく時間がかかるね、この2人、

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【図1】2人の心の中(視線外向き)

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【図2】2人の表面上の姿(視線内向き)

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【図3】表面上の表情(透)

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【図4】表情上の表情(夾)

次回タイトル

「真知がいた」
どうみても、由希のセリフであるが、何を考えてのセリフなのかは、まだよく分からない。ただ、真知がいじめられているのを見て、直接行動しようとしたが、結果的には、何もできなかった由希はどこへ行くのだろう。

DVD

劇のビデオを紅野に見せるために紅葉にDVDを1枚依頼するときのやりとり

【マンガ原作】

透:それは…その機械がなくては見られないのですか…?
紅葉:見れるよーっ DVDにもおとせるしっ
透:よ…よくはわからないのですが、でも、あの、紅葉君、できましたらそのディー…というモノをおひとつ…

【アニメ】

透:それは…その機械がなくては見られないのですか…?
紅葉:見れるよーっ DVDにもできるしっ
透:あ…あの、紅葉君、できましたらそのDVDをおひとつ…

マンガ原作当時の2004年は、まだDVDが完全に普及してはおらず、ビデオデッキも販売されていた。そのような時代背景から、透にはDVDは無縁であったため知らなかった…ということだろうけれど、草摩の家に同居しているのだから、知っていて良さそうではある。このあたり、原作発表当時はどのように理解されたセリフだったのかは興味がある。いずれにせよ、2020年に現代の設定で放映するのであれば、DVDを知らないというのは、逆におかしいのでセリフが補正されたということになる。