プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】努力と才能 〜 様々なバリエーション


ハグプリにおいては、仕事と育児がテーマと言われてきた。仕事についてはミライパッドのお仕事スイッチの力を借りてお仕事体験をしてきたが、中学2年設定では体験止まりであった。しかし、最終回で、11年後、25歳になった姿を描くことで、主要キャラクターの就いたお仕事を描くことができた。これはある意味答え合わせ的なものである。少女アニメの最終回なので、大人になって失敗して失意の底にいるというような者はいないが、それぞれの選択と結果が描かれている。但し、未来に帰ったルールーについては全く描写がないので、ひょっとしたら失意に沈んでいるのかもしれない。これらハグプリメンバーの就いた職業につき、努力と才能の観点から、整理し考えてみた。

ハグプリの前半では、はなとの対比からか、さあや、ほまれ、アンリといった登場時から才能に溢れ、運も味方につけた様なキャラが目立つが、ひなせ君の様に非凡の才はなさそうだが、好きなことをコツコツ努力する人であったり、自分には何もないと悩むはなだったりと、特別な才能がない普通の人の努力や自分探しも描いている。また、才能溢れる者たちにも、それぞれ挫折や進路変更を経験させたりしているし、一条蘭世のように才能と努力はあるが運に恵まれない者についても描いている。メインターゲットである少女を意識して、ハグプリは才能溢れる華やかさを中心に描きつつも、普通の生き方や華やかな中にもある悩みを、それぞれのキャラクターについて描く試みがなされている。さらに2030年時点、つまり多くのキャラが25歳となった時点での、各自の到達点を描いている点もまた努力と才能と運の答え合わせのようで良い。

輝木ほまれ

登場時からフィギュアスケートの才能があった。幼少時からその道に入っていた。これは自分がやりたいと言って始めたものである。結局、ほまれはそのままスケーターの道を進み、中学在学中も大会の規模は分からないがメダルを獲っており、成人後もおそらくメダルを獲っている(はな出産時に持参したメダルが、思い出ということで中学時代のものである可能性もなくはない)。その場合はフィギュアスケート選手としては引退していることになる。しかし、ほまれが空港から駆けつけるシーンが描かれており、これは海外もしくは日本のどこかでフィギュアスケートの大会があった、もしくはトレーニング中であったことを暗示していると言えるので、現役スケート選手であると考えるのが素直であろう。ほまれは、高い目標をかかげ、かつ目標通り成功している。ほまれは、スケートの努力はしてはいるだろうが、はなたちとの交友関係やハリーとの淡い恋も大切にしているので、練習時間は競技のライバルたちより少ないと思われる。それでも活躍を続けられているのは、才能が圧倒的なためなのだろう。ただし、挫折がないわけではなく、はなに会う直前のほまれは、スケートで上手く結果が出せず、かつ母に経済的負担を掛けてきた自分や周りの期待に対してどうしようもない気持ちになり、練習ができない状態になっていた。これを自ら乗り越えて、その後の成功がある。しかし才能に溢れているからその成功があることには変わりはない。なお、スケートを再開するまでに、ほまれは、自らのスケートの成績が振るわないげ背が伸びたからと位置付けていたが、これはいつの間にか【才能豊かでそのまま最後まで成功するパターン】

薬師寺さあや

登場時から女優の才能があった。幼少時からその道に入っていた。つまり、ほまれと似た状況ではなに出会っている。ほまれとの違いは、ほまれは、出会った時点でスケートは中断していたのに対し、さあやは積極的には外に言わなかったものの活動はしていた。また、これが自らがやりたいと言って始めたものか、女優である母親とそのマネージャーである父親の考えで始めたのか、どちらなのかは描かれていない。しかし、物語の中で、さあやはその才能と経験を捨て自ら医師になると決心し実現する。医師になるためには大学入試をクリアする必要があり、その点で努力はしたのだろう。さあやは、突出して勉強ができる描写はなかったが、5人組プリキュアの青なので勉強の才能もあったのだろう。【1つのことの才能に恵まれていたが別なことをやりたいと考え、そちらでも成功するパターン】

愛崎えみる

音楽の才能はある。これはオペラ歌手?である両親からの遺伝と幼少期からの教育の賜物と思われる。そして本人も音楽が好きであり、好きなことをやっていて小学6年生にしてルールーとのツインラブというユニットで芸能界デビューした。その後どうなったかであるが、2030年におけるえみるの描写は幼児型ルールーとの出会いは描かれているが、音楽活動の描写がないので不明。【パターン不明】

ルールー・アムール

初期設定ではクライアス社データ分析用アンドロイドとして製造されたことになっていたはずだったが、後期に入ると、ドクター・トラウムの娘として製作されたような設定になっている。いずれにせよ、データ分析能力は後半ではほとんど活かされず、音楽とグルメと友達との交流という、中学生にふさわしい毎日を送っていた。音楽のない未来で音楽を広めるとのことであったが、2030年では、幼児型ルールーの描写はあれど、未来に行ったルールー本人については描写がないので不明。なお、少なくともえみるがギターを普通に弾いていたので、2030年には未だ音楽はあるようだ。【パターン不明】
*:2030年に、はなの周りの主要な人物で夢がどうなったか描かれていないのは、えみるとルールーだけである。これは、脚本上、あえてそうしているのではないか。しかしその場合、なぜ描かなかったのかがポイントになるが不明。えみるはまだ幼児型ルールーに会う未来が描かれていたけれど、未来に帰ったルールーは、結局どうなったかは描かれないまま。音楽のない未来に1人で帰ってどうなったのか、悲しい結末なのかもしれない。

阿万野ひなせ

努力をしているのは分かるが…部活を頑張っているという程度にしか見えない。まあそれが普通の中学生なのだけれど。とはいえ2030年には、千瀬に「ひなせはすごいよ、夢かなえてて」と言わせていて、トランペットで生きているようだ。成功度合いは描かれていないので不明だが、これが普通の人間がコツコツ好きな夢を追いかけ成功した姿を描いているのかもしれない。しかし、このひなせ君、中学時代は真面目一筋といった感じのネクタイ・シャツインであったのが、成人後はノータイ・シャツ出しとなっており、何らかの心境の変化、もしくはミュージシャンとしてのイメージ戦略上の営業努力があることがうかがわれる。【才能も努力も突出してはいないが夢を追い続けるパターン】

一条蘭世

さあやと同じで幼少期から女優を頑張るも、中学時代までは、さあやほど運に恵まれていないようだ。ただし、さあや関連でも、幼児期のさあや主演のCM、さあやママ主演のドラマ、さあや&さあやママ主演のテレビドラマに脇役として出演しており、さあや関連ではない仕事もしていると思われるので、才能はあるようである。運に恵まれないといえど、中学時代に既にハングリー精神と前向きさを見せており、最終回での成長した蘭世は、演技に対する何かの賞を受賞するところにまで至っている。【才能も努力もあるのに運に恵まれなかったパターン】

十倉じゅんなと百井あき

まさに中学時代の同性の親友という2人。結局、漫才師になったか。確かに中学時代の2人のやりとりは掛け合い漫才だったから、まあ2人の息はぴったりだったのだろう。ただし、描かれた描写からは、すれ違いによる仲違いで絆を深めるエピソードはあったが、それ以外に人間性を深めたり、芸を極めたりといった、漫才等に対する努力はみられなかった。なお、登場はテレビ?出演という形での描写であったが、2030年にテレビが街頭や飲食店内で一律放送されるという形態があり得るのかというのは少し疑問。但しそもそもハグプリというアニメがテレビ放送のものなのでこの未来は仕方がないと言える。【才能や努力より運が大きいパターン】

若宮アンリ

才能はあるが努力を惜しまないストイックな人。ただし努力は隠す。ほまれ同様、幼少期からフィギュアスケートをやっていた。才能と努力と運を持っていたが、途中で悲運に見舞われる。怪我により絶望の淵に立たされるも、中学生にして持ち前の前向きさで立ち直り、男の子だってプリキュアになれるを体現する。【当初持っていた夢を続けられなくなるパターン】

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【図1】男の子だってプリキュアになれた初のケース。ただし単発(※)

野乃ことり

小学校6年生のときに、既に個人ホームページを開設しているが、特にPC周りが強いという描写があるわけでなく、また、特に他の才能に関する描写もなかった。どのような努力をしたのか、していないのかすら分からないが、2030年には、高校もしくは中学のチア部を教えていた。ことりは、はなという常人では成すことのできない破天荒な人生を歩む姉の妹設定なので、それなりの夢とそれなりの努力で"ごく普通の人生を生きている"というキャラ付けとなっていると思われる。【それなりの夢とそれなりの努力をする普通人パターン】

(※)東映アニメーション公式ページより引用 http://www.toei-anim.co.jp/tv/hugtto_precure/episode/summary/42/