アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【けものフレンズ2】騒動をビジネス的に考える


あーあ、なんでこうなるのかという感じ。けものフレンズは、非常に良いコンテンツになり得たのに。消滅しかかったコンテンツを敗戦処理を任せた投手が、なぜかホームランを打ったというミラクルだったのに。「けものフレンズ3」でスタンバッているセガが可哀想だ。まあ、ビジネスなので可哀想とかでは済まない次元で色々あるはず。

と前置きは砕けた感じだけれど、このけもフレの騒動をビジネス観点で邪推してみる。あくまで邪推です。

たつき降板の原因をお金と考えれば見えてくる

コンセプトデザイン担当のムクムクが原因とか言われていますが、株式公開企業のテレ東とカドカワ他が噛んでいるビジネスなのだから、それだけで決まるわけがない。お金が絡んでいるに決まっている。思うに、たつき監督側(ヤオヨロズ)が、1期の成功を盾に「相応の対価」を要求したのではないだろうか。それを単純に製作委員会もしくはその内のどこかが飲まなかったと。後々になってたつき監督がTwitterで脚本料未払いについて呟き、誰だかわからないけど分かりつつあるアカウントの人に、勉強になっただろと言われたのも、決別がお金が鍵になっていることが表に出てきたと理解できる。ここで間違えるべきでないのが、たつき監督が金の亡者という話ではないのである。「けものフレンズ」というアニメを含むコンテンツがお金を生むものであり、それは貢献に応じて分配されるべきものである。だから「けものフレンズ」がメガコンテンツになったとして、たつき監督が清貧を貫いたら、逆に何も貢献していない誰かが、過分なお金を得ることになるだけの話である。そして、そうしたい誰かが、恐らくいたのだろう。ただし、本気で監督など誰がやっても同じと思っていたようなので、単に貢献度につき真っ当な評価ができない、もしくはできないフリをしていた可能性が高い。

パイの奪い合いとパイの拡大

「けものフレンズ」が生み出すお金というパイの奪い合いを考えた時、発注側の方が強いと考えたテレ東が、受注側を切った。その理由は、2期制作など誰でもできるからということ。この時点でのテレ東の判断は、自分たちの本来のパイを守った、もしくは分け前を増大させたというものだったはず。そもそもパイ自体が2期放映により更に拡大することを見込んでいただろうし、2期は、誰でも成功できるはずと本気で信じ切っていただろうから。

1期放映までのコンテンツと放映後の興奮

けもフレは、アニメ1期放映の前月にオンラインゲームが終了しているというほどの過去の遺物的コンテンツだったわけで、1期の成功は、たつき監督も声優も含め当事者全てを興奮させたと考えられる。しかしここで製作委員会かそのうちのどこかの会社が、これは元々のコンテンツが良いからだと解釈したのでしょう。まあ、その一面も否定できないが、それまでこのコンテンツが成果を出せなかったのはなぜかも考えるべきだった。それで、拡大したパイに対して「正当な取り分」を要求したたつき監督側(ヤオヨロズ)を生意気と切り捨ててしまった。単に使役するだけの存在と考えていたたつき監督側(ヤオヨロズ)が、自らの価値と権利を主張してきたのだから、ふざけるなという感覚だったと思われる。しかし、ここで冷静な判断をすれば、作品に対するネットの評判がどこにあったのか、そもそもアニメ1期以外どれも終わったコンテンツが、一躍ドル箱コンテンツになろうとしているのは何故かがわかったはず。

興奮ゆえの冷静さの欠如

それどころが、2018年度の株主総会でも色々言われていた。まあ、小株主の戯言と考えたのかもしれないが。いずれにせよ、誰が監督をやっても同じという判断で、たつき監督を切ったのだからビジネス責任は、切った側にある。極端な話、仮に収益の多くをたつき監督側に持っていかれたとしても、残りで元々の計画どころか、それ以前の赤字を埋められるならば、たつき監督続行という案も考慮したはず。しかし、経営判断は、目先に見えているパイをより多く奪った方が儲かる…だったのでしょう。というか、たつき監督側(ヤオヨロズ)も製作委員会側が判断を悩むもしくは論外と一蹴するほどの強気な額を提示していた可能性が高い。結局、皮算用だったというか、コンテンツ台無しにしつつあるのですが。まあ、制作会社に渡す金は純粋なコストだから、少ないほど自分たちの儲けにつながる。そのロジックは正しい。しかしそれにより、多くのけもフレファンの危惧通りの2期の惨状を迎えてしまうのは、三流の経済テレビドラマ過ぎる。

2期の惨状は筆舌に尽くし難い

作品のストーリー展開が、メチャクチャだった。ポプテピピックかよというくらい。いや、わざとストーリーを破綻させているのではとしか思えない箇所も多々ある。しかし、深夜アニメとしては、まあ、その…特に酷すぎるということもなくて、そんなのもあるね…くらいのレベルだったのかもしれない。単に「けものフレンズ」の2だからハードルを上げてしまったのかもしれないし。誰がやっても同じと言われていたらしいが、たつき監督以外が1期をやっていた場合はその通りだと思う。しかしその場合は、2期の話など出ず、ゲーム終了の流れのまま消えたコンテンツになっていたでしょう。これを結果論というのは間違っている。製作委員会内部はともかく、ネットではたつき信者と揶揄される者まで現れ、たつき監督を切ってはならぬと叫んでいたのだから。で、現に2期と同じタイミングで(というかけもフレ2期がわざわざ自爆攻撃的にタイミングを合わせていったのだが)、放映されたたつき監督の新作「ケムリクサ」が、ストーリーの確かさで、解読班が総動員される。解読班といえば、けもフレ1期であったのだが、2期では閑散としたものになってしまう。なぜなら、フラグはメチャクチャ乱発されるが、回収の気配もなく、ひどい時は、前の回のラストで衝撃的なことが起こっても、次の回では、特に何があったということもなく、何事もなかったかのように解決しているとかね。護送車に主人公が入れられて終わった翌週に、護送車の柵は全て破壊されて外に出ている主人公を見せられ、そこに合理的説明ないのだから。さらには、高所から海に落下して終わった翌週に、心霊体験して、気づいたら浜辺にいたとか、ハラハラドキドキさせて解決策が「特に何もしなかったけど大丈夫でした」というのは、小学生でもダメだと思うよ。これを毎週見せられたプロデューサーは、恐怖を感じたと思う。一方の「ケムリクサ」が順調に謎と解決を小出しにして先行しているのを同時進行で見ながらだから、精神的に余計応えたはず。

利害関係者の声が上がる

まあ、製作委員会内外での利害関係者の声が大きくなってきたのではないですかね。タイアップ企業にしてみれば信じられない惨状だったはずなので。テレ東プロデューサーの実名でのネットの活動が、あまりにやり口が酷くて、色々な証拠の断片も掴まれて。製作委員会は共同体だから、力関係はあれど、一社の意向を全員が全て聞くわけにはいかない。うまく回っていれば別だけれど。その意味で、2期のプロジェクトもタイアップは色々あったので、アニメが始まるまでは、良かったのでしょう。しかし結果が出てしまった。誰がやっても同じではないことが、白日の下に晒されてしまった。深夜アニメなのに。

自らの火の中に飛び込んでいったことから分かること

よせば良いのに、たつき監督の次作である「ケムリクサ」と同じ放映開始時期(2019年冬)にぶつけるという無謀なことをしている。これは、本当に「監督は誰がやっても同じ」と信じていたからこその行為。これで、コンテンツの価値としては、既に1期があって知名度が先行する「けもフレ2」が「ケムリクサ」をなきものにできると本気で考えていたのでしょう。で、あっさり、本当にあっさり負けてしまう。それはそう。たつき監督の「ケムリクサ」はどう見ても、「けものフレンズ」のセルフオマージュ。全体のトーンは明暗真逆だが、やっていることは「けものフレンズ」と同じ。謎に満ちた登場人物が、なんだか知らないけれど旅をしていて、色々遭遇する内に謎が解けていくという話。この手法は、1期で手馴れているたつき監督の方に分があるのは明らか。これを「けもフレ2」が勝てると読んだ判断もまずい。ひょっとしたらたつき監督が作ってもマンネリの批判を浴びたかもしれないくらいなのに。

一方当事者はマイペースでレベル維持

結局、勝負を挑んだものの、向こうは各話マイペースで水準を維持し、けもフレ2は、刃を交わすこともなく、自滅。どうにもならなくなってプロデューサーがネットで大暴れ…。いやこれはビジネス的にありえない禁じ手。

けもフレは、お金儲けのためのコンテンツである。他の企画ならともかく、アニメの「けものフレンズ」の続編と名乗るならば、たつき監督は外せない。金額規模はわからないけれど、極端に表現すれば、たつき監督が作れば、10儲かるとして、その内の5をたつき監督側に納めないといけないとしても、他の監督ならば、4しか儲からないのであれば、前者を取るべきなはず。それを後者の場合の計算を読み間違えたということ。まあ、予測は難しいだろうけど、現実にはこういうことになったのだろう。最終回が終わり、ある程度の結果が出たこのタイミングで、お金のことを清算し始めて、たつき監督外しの影響の大きさと、その犯人探しが始まったのだろう。犯人を誰かにしないと、製作委員会の加盟各社の担当者が、各自の会社の偉い人たちに説明できないからね。「いやあ、切った監督にしてやられましてね」なんて言えない。

たつき監督の宣伝をするけもフレ2

「けものフレンズ2」の放映シーズンを「ケムリクサ」にぶつけて、たつき監督を潰すという計画は、見事に逆の様相となった。2期のストーリーの酷さが、1期と「ケムリクサ」のストーリーの秀逸さを際立たせた。結局、「けものフレンズ2」の商業的効果は、たつき監督ブランドの価値を上げたことだったと言える。たつき監督を潰すどころか応援しちゃってたということ。内部では、作れば作るほど敵の評価が上がるという悲惨なことになっていたはず。上層部はともかく、真面目に従事していた方々もいるだろうから同情する。

日清の奇跡

カップ麺でおなじみのこの会社。2017年に「けものフレンズ」とタイアップしながら、2019年には「ケムリクサ」と組むという荒技を行なっている。NHKの朝ドラで日清創業者をモデルにしたドラマ「まんぷく」を放映したその時期に、「ケムリクサ」とコラボなんて、引きが強すぎる。日清の奇跡と書いたが、日清にしてみれば奇跡でもなんでもないのだろう。「大阪半端ないって」なんてCMやった直後に、大阪ナオミが全米オープンで優勝するというミラクルを生んだ会社だからね。人を見抜く力が抜群。あ、ミラクルって奇跡か。これからは、日清のCMオファー来たら断る人いないんじゃないだろうか。もともといないだろうけれど。

収支の結末

まあ、1期の盛り上がった勢いを借りて、2期も結構コラボしてる企業あっただろうから、2期単体でも金銭的収支はプラスかもしれない。しかし、たつき監督続投ならば得られたであろう逸失収益との比較を行うと、たつき監督を切ることを決めた誰かの責任になるのだろうね。委員会の合議制だから、1社の責任ではないと言うのは、外部的にはそれで良くても内部では通らないはず。

そして、SNS騒動でお詫び文を掲載した負の資産は、これからどのように利いてくるのかは未知数という怖さ。

某プロデューサーは怖かったはず

更新を止められる?までの末期は、某プロデューサーのtwitterは異常である。とても公共の電波を使用するテレビ局の責任ある方とは思えないものであった。それでも2期が終わるまでは生きながらえていた。匿名アカウントでの自作自演まで言われるようになって、更新停止させられたのだろう。これ、プロデューサーは怖かったと思う。正月明けるまでは、本当に打倒たつき監督でお肌ツヤツヤで楽しかったと思う。しかし放映が始まり、両者を比較して観ることができるようになると、現実が毎週視覚化されるわけで、プロデューサーの動揺は計り知れない。恐怖を感じるからこそ、あのtwitterのつぶやきになったのだと思う。

結論

製作委員会は、お金で繋がっている。だからムクムクと結託して、たつき監督を追い出すだけならともかく、「けものフレンズ」というアニメコンテンツを潰すために2期を作ったというのは、多くの人を文字通り騙さないとできないことで、もし本気でそれをしたのなら、今後、製作委員会から大きな結果責任を負わされるはずである。製作委員会の興味はお金だからである。しかし、放映が進み、恐怖から、結果として「けものフレンズ」を壊しにかかった形になったというのであれば、心情は理解できる。余裕と思って斬りつけに行ったら、果物ナイフで毎週少しずつ切られていったのだから。最終回あたりは血だらけで本当に苦しかったと思える。最後は同志であるはずのけもフレ2監督に対しても酷い対応をしていたようなのがtwitterの呟きから伺えるほどのすさみっぷり。