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【けものフレンズ2】敵の土俵に乗ってしまった2期


「けものフレンズ2」の騒動は、たつき監督の土俵に製作委員会が乗ってしまったことが原因だった。

けものフレンズがロードムービーである必要はなかった

なぜ2期は1期を踏襲してしまったのだろうか。これが一番残念なことである。アイカツで活躍していた監督を連れてきたのならば、アイカツ風けもフレで良かった。そもそもたつき監督は、けもフレの素材を自分の得意なロードムービーで描いたから成功したとも言える。その時点ではヤオヨロズに制作を依頼した製作委員会の眼は確かだった。そして2期に新たにアイカツの監督を選んだ。1期のように慧眼をもって選んだのであれば、その監督の得意分野で腕をふるって貰えば良かった…が、どうもテレ東のプロデューサーのコネっぽい。このプロデューサーはアイカツのプロデューサーでもある。終了コンテンツを復活させた監督の後任というこの大役に、コネ…。まあでもアイカツの監督ならば、経験は申し分ないと説明できる。ただし、アイカツってストーリー複雑で伏線張りまくりだったか?甲子園決勝で、3点差で負けてて、9回裏二死満塁の代打に、高校ダンス選手権優勝者を立たせるようなものだ。プロデューサーというか製作委員会は、ここはたとえ甲子園だとしてもステージを作ってダンスを踊ってもらうべきだった。監督もダンスを踊らせろというべきだった。その点、たつき監督はラッキーさんだった。9回裏二死ランナーなし5点差で負けている場面で、監督ももうおしまいと諦めて、今まで出てないやつでも出すかとバッターボックスに立たせたら、勝手に種目をラグビーに変えて、トライ&コンバージョンを一人で決めて7点もぎ取り、チームを逆転優勝させたのだから。

たつき監督は2作目も自分の土俵を選択

たつき監督第2作の「ケムリクサ」もロードムービーであるし。というより、「ケムリクサ」は、まんま「けものフレンズ」である。単に全体のトーンが明るいブルーかくらい赤かの違いはあれど、遺棄さらた乗り物に勝手に乗って、漠然とした目標に向かって旅を続けるという点が驚くほど共通している。たつき監督の土俵に持ち込めば勝ちというわけだ。

なぜ土俵に上がったのか

では、「けものフレンズ2」は、なぜ土俵に上がってしまったのか。それは、製作委員会側が、たつき監督のロードムービー観というものの深さについて何も考えていなかったからだろう。続編というならば、前作の世界観を踏襲しなければというただそれだけで、たつき監督のロードムービー観を理解しないまま決められていったと思われる。1期に対して、こんなもの誰でも作れると思っていなければ、たつき監督を切ることはできない。

たつき監督のロードムービー観

たつき監督のロードムービー観は、「けものフレンズ」「ケムリクサ」ともに共通して、説明なく謎の設定・行動・事象が現れ、それにを受け入れながら移動し、謎は話が進むにつれ明らかにされる一方で、新たな謎が普通の顔をして追加されていくというものであり、最終回の1話前にそれまでのトーンとは異質な話を出してきて、最終回で一定の解決を見るというもの。これ、形式をなぞるだけでも大変だと思うが、ちゃんと作ろうとするとかなり難しい。

たつき監督はラッキーさんだった

たつき監督がラッキーだったのは、低予算でプロジェクトメンバーも少ないため、一人で色々やれたこと。脚本クレジットの変更でもわかる通り、たつき監督に多くの権限が集中していたことが大きい。これにより、コミュニケーションが不要となり、脚本構成作画の際に感情や何を表したいのかの伝達コストのみならず、避けられない意思疎通の漏れが全く生じないので、ストーリーの一貫性が維持される。「けものフレンズ2」は1期の成功を元に予算も多く付けられ、スタッフも1期対比多い。しかしこれがプロジェクトマネジメントの難しさで、関与する人数や利害関係者が増えれば、コミュニケーションコストは激増する。これにより予算の多くをコミュニケーションに使うこととなり、生産性は落ちたはず。そして、人数が増えた割に制作期間も意外に短縮できないにも関わらず、「ケムリクサ」に合わせるために納期短縮を図る。それはダメなプロジェクトです。結局、投資対効果どころか、品質・コスト・納期の内、最後の納期だけ守ったが他の2つはズタボロになったはず。

たつき監督は自分で作った同じ土俵に2度上がる

一方のたつき監督は、「ケムリクサ」で「けものフレンズ」と同じようなロードムービーを制作して喝采を浴びる。2匹目のドジョウはいた。しかし、3度目も同じようなロードムービーであるのは視聴者にも飽きがくるから中々難しいので、次作がどうなるかは気になるところ。

日清

全く脈略ないが、たつき監督の「けものフレンズ」1期でタイアップしながら、けもフレ2期からは離れて、サクッとたつき監督の「ケムリクサ」とタイアップする日清の才能を見る眼は尋常じゃない。まあ、過去のCM見れば、カルチャー分野のアンテナは伝統的に高いから、そういう能力がある人が適切なポジションにいるということでしょう…それが、エンタメ業界ではなく食品業界だということが衝撃的なのだが。