アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【デパプリ】ゴーダッツの革命2〜悪の相対性と歴史の主観性


『デパプリ』の敵ボスキャラであるゴーダッツが行ったことは、絶対的な悪なのだろうか。ゴーダッツが行った悪事、および企みとは何だったのか考えてみる。

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ゴーダッツが悪の道に入るきっかけ

ゴーダッツは自分の上位者であるジンジャーが、後継として自分を指名してくれなかった恨みから、悪の道に入った。しかしジンジャーは、クッキングダムの王ではなく1官僚に過ぎない。つまりゴーダッツの恨みはクッキングダム内のクックファイターという官僚組織内の揉め事に過ぎない。

何故フェンネルはゴーダッツ化したのか

クッキングダムはクッキングが治める王国である。クッキングダムの描写で、政治を担当する官僚や大臣のような者はいない。ジンジャーはあくまでクックファイターである。このことから、クッキングダムにおいて、クッキングがクッキングダムにおける最高の政治権力を持つ者であることが分かる。しかし、第1話以降、ブンドル団対応以外でクッキングが政治らしいことをしていない。当然というか、ジンジャー後継についても、クッキングは特に何もしなかったのだろう。これが不満を持つフェンネルをゴーダッツ化させたと考えられる。ジンジャー後のクックファイター体制についてフェンネルをちゃんと納得させることができなかった。これはクッキングが、政治的に何もしない王であることによると言える。

ゴーダッツのやったこと

レシピッピを奪うことで地球上の料理のレシピを無くそうとする。おにぎりだけはそこらじゅうに配布していたので、要は食のバリエーションを無くして地球上の人類の食事はおにぎりだけにするつもりだったと思われる。食は保障すると言っていたので、食のバリエーションの楽しみの代わりに飢えからの解放を行ったことになる。おいしーなタウンは豊かな食を標榜する街なので、レシピッピを奪うゴーダッツのやり方に危機感を覚えるが、恐らく飢餓に苦しむ地域の人々は、望めば望むだけおにぎりが得られるゴーダッツの方が、餓死の危険性を放置したままのクッキングより歓迎したであろう。

結局、プリキュアが勝ったため、飢えに苦しむ人たちは、救われなかったことになる。

クッキングがやったこと

クッキングの治世で何をやったか…が『デパプリ』の中では描かれていない。これの意味。

『デパプリ』を勝者の物語として読むならば、これは何も特筆すべき実績がないということ。それはそう。地球上には飢えに苦しむ人々がいるのに、それについて何も言及しておらず、ゴーダッツの攻勢に自ら先頭に立つこともなく防戦するのみだったのだから。

おいしーなタウン

ブンドル団がレシピッピを奪うためにおいしーなタウンばかり現れていたのは、ひょっとして、地球上でレシピに溢れている場所はおいしーなタウンしかなくなっていたということはないか?他の街、他の国では皆飢えていて、レシピにバリエーションが余りなかった。だからレシピッピの種類が多いおいしーなタウンにしか現れなかったと。おいしーなタウンは、地球上におけるレシピッピの特別区だとしたら納得できる。逆においしーなタウン以外はレシピッピは少ない地区になっていると。そう考えると、ゴーダッツが行った、おにぎりは誰にでも食べられるようにするという施策は、おいしーなタウンの特別扱いを止めるだけで、他の多くの人類のためになるものだということができる。

ゴーダッツは飢える人々を救う革命家

…というように考えることができるのではないか。

ゴーダッツという名前

強奪を想像させる名前。これは、蘇我入鹿、蘇我蝦夷のように、歴史を記述する勝者が敗者を貶める名前をつけたと考えることができる。

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敗者なので外見も悪逆に描かれるのも歴史の観点から仕方がない。