プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【スタプリ】葛藤を深く描かないことについて


スタプリにおいて、ストーリー上に生ずる登場人物の葛藤が、あまりにサラリと描かれすぎていることが少し気になるので考えてみる。

葛藤シーン

第2話「宇宙からのオトモダチ☆キュアミルキー誕生!」

ララは、ひかるより長い時間フワといたにもかかわらず、ひかるがプリキュアになってしまったことにショックを受け、嫉妬の混じった感情を持ってしまう。ここは、ララのアイデンティティにも絡むところで、掘り下げがいのあるポイントであったにもかかわらず、同じ第2話中にプリキュアになってしまう。メインターゲットであるお子様方の注意を引くには、第1話、第2話と続けてプリキュアを出す必要があるのかもしれないが、プリキュア5のかれんやハグプリの誉れのように、プリキュア覚醒直前まで行きながら1度は覚醒できないと言う演出までは要らないが、もう少しプリキュアになれないことの葛藤を描いても良かったように思われる。わざわざララはひかるに嫉妬する描写を入れたのであるから。ララのプリキュア覚醒が、2番目でなく、えれな、まどかの後の、4番目でも良かったのではないか。メインターゲット的にどうかは分からないが、オトナ的には、それだけでその後のストーリーにも厚みが出ると思われる。

第5話「ヒミツの変身☆お嬢さまはキュアセレーネ!」

まどか先輩の父親は、宇宙人の侵入を調査、取締りする立場の国家公務員である。プリキュアは宇宙人と戦うし、そもそも構成員の1人が宇宙人である。また、まどかの家の家訓は、家族で隠しごとはなしというものである。この様な状況において、まどかはプリキュアになることを選択する。ここには大義名分があるとはいえ、形式的には親を欺くことになるので、かなりの葛藤であるはずである。確かに一瞬ためらうが、結局、親を欺くことを選ぶ。

その後の2人

以上の2つのエピソードは、そのシーンだけであれば、描写として十分であるかもしれない。しかし、この様な葛藤をしたという事実がその後のストーリーに見えてこない。実は描写があるのかもしれないが残念ながら見つけられない。ララの葛藤も、まどかの葛藤も、引きずっておかしくない内容である。プリキュアとして活動する限り、ララはひかるとの差を何かにつけて思い出すであろうし、まどかは父親の存在を意識せざるを得ない。繰り返すが、ここはかなりの掘り下げポイントであるはずなのに。

えれなの葛藤

えれな先輩にも葛藤はあった。しかしこれは過去のもの。第14話「笑顔 de パーティ!家族のソンリッサ☆」にて弟のとうまが自分の家族が他の家の家族と違うことに悩んでいた際、えれなは、自分もそうだったと告白している。そしてそれに打ち克ったと。えれなは性格的に明るく、人気者で、ハキハキしているが、とうまと同じ様に悩んでいたということを視聴者に提示することで、えれなのキャラクターに厚みを持たせている。えれなについては、そのキャラクターからみて、葛藤は過去のものとするのがストーリー上、良いのだと思われる。しかも、弟のエピソードとしてではあるが、1話を使ってその葛藤と付随して生まれる苦しみを描いた点で、掘り下げもなされていると思われる。

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【図1】なんとも微妙な表情。葛藤する弟に自分の過去を見つけ、その上で弟が打ち克つことを信じ、かつ本当に打ち克てるか不安ものぞく。そんな表情。素晴らしいの一語。

ひかるの葛藤

そして、主人公ひかるの葛藤についてである。ひかるはとにかく思いついたら即行動で、くよくよ悩むことなく前を向いていられる性格と描かれている。葛藤はなさそうに見える。現時点では。しかし、スタプリもそろそろ中盤。ひかる以外のスタプリ初期メンバー3人に何らかの葛藤があったように、ひかるにも葛藤があるはずである。これまで巧妙に避けてきた父親絡みであるはずである。この葛藤は、正面からある程度時間をかけて描かれるであろう。