アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【スタプリ】ユニとは誰か〜孤独な戦い


ユニについては既に「ユニとは誰か〜存在感の急落」というエントリで、追加メンバーとしての意味を商業的視点を絡めて書いている。しかしここにきてユニについてストーリーに影響を及ぼす新たなエピソードが明らかになったので、新たなエントリで改めて書く。

第38話「輝け!ユニのトゥインクルイマジネーション☆」において、ユニはトゥインクルイマジネーションを覚醒する。この回は、ユニがこれまで戦ってきたことに対する多くの情報がちりばめられていた。特になぜトゥインクルイマジネーションを覚醒したのかそもそトゥインクルイマジネーションとは何かについて重要な示唆があった。これについて見ていく。

第38話の重要度

第38話は、これまでのスタプリと同様、それほどのドラマチックな展開はなく、淡々といつもの戦いのように進んでいく。しかし、第38話は、ユニがトゥインクルイマジネーションを覚醒したという重要事実が描かれた回である。かなり昔のプリキュアならば、こなような場合、かなり深くユニの葛藤、アイワーンの葛藤が描かれたと思われるが、このスタプリでは、そのようなことはなく、これまでと同じようなトーンで進行する。これは、いつも通りのプリキュアという表現と、ラストに向かって色々解決していくストーリー展開の両立を図ったものと考えられる。前者はメインターゲットの方々のため、後者はその保護者、その他の大人のためのもので、メインターゲットの方々には、深いストーリー展開を必要としない方々が多いことによる配慮と思われる。瞳にハイライトのないベタ目が、ギャグシーンは別として、深刻な場面で出てこないのはその配慮の1つである。このため見落としそうになるが、この38話は、ストーリー上、非常に重要な回である。

孤独と仲間

ユニがひかるたちに出会うまでは、レインボー星を元に戻すために1人で戦っていたことはこれまでの描写で分かっていた。この孤独について掘り下げられている。

ハッケニャーンの存在

ウラナイン星のハッケニャーンは、ユニが孤独な戦いを始めた初期に訪れている。ユニはその際ハッケニャーンに何かを得たと思われる。

心の拠り所

ユニはハッケニャーンから、レインボー星を元に戻すための情報は何もあることはできなかった。しかし、それまで完全に孤独であったユニの心の拠り所となる人物としてハッケニャーンを見ることができたため、ユニは力を得ている。第38話の描写から、そもそもユニは占いをしてもらおうとハッケニャーンを訪れたのではなく、レインボー星の生き残りの噂を聞いて訪れたと思われる。ユニ、ハッケニャーンともに地球出会うネコ科系統の宇宙人なので、そのような噂が出るのは仕方がない。しかし、ユニはがっかりして帰るのではなく、しっかり占ってもらう。ただし、この時のユニは、ひかるたちに出会った時のようなユニではなく、希望を失っていた時なので、怪盗でもなく、ハッケニャーンからの占い代について、お金がないから払えないと言っている。これは怪盗ブルーキャットとなった以降では考えられない純粋な反応である。

なぜユニは変化していたのか

ユニが変装していた理由。これは、深刻な理由が考えられる。星空連合では、レインボー星が石にされたことは知れ渡っていると思われる。この時、本来のユニの姿のままでは、「レインボー星人の生き残り」とすぐに身元がバレる可能性が高い。ユニは1人で戦っているため、一目瞭然でレインボー星人と分かるのは都合が悪い。このため変化していたと考えられる。

バケニャーンのネタ元

その後色々あったのであろう、ノットレイダーに潜入することになる。その際の変装に、ユニは、このハッケニャーンの姿を選ぶ。これは重要で、ユニはずっと孤独であり、変装する際に参考になる人物として最初に頭に浮かんだのがハッケニャーンだったのだろう。変化後、名乗る際に思わずハッケニャーンと言いそうになり、バケニャーンと言い直していることからも、ユニは潜入時にハッケニャーンを参考にしていることは間違いない。これは、孤独な戦いを続けていたユニにとって、レインボー星の人々以外によく知る人物は少なく、また心の拠り所となっていたので、力を貸して欲しいという意味を込めて、ハッケニャーンに変化したと考えられる。

ユニの孤独

ユニが孤独であることを、ユニの変化を通して考える。ユニは、怪盗ブルーキャット、バケニャーン、宇宙アイドルマオに変化していた。さらには、プリキュアと接している時のユニでさえ、レインボー星にいた時のよりケモノ度の高い本来のユニとも異なっており、プリキュアにさえも本来の姿をあまり見せていない。そもそも変化して別人格になっている以上、本来のユニは、プリキュアと共にいても孤独からは逃れられなかったのだろう。しかし、この第38では、フワがマタークッキーを食べる食べないの騒動の時、ユニもひかるたちに混じって笑顔でフワを追いかけていた。これをアイワーンが見て嫉妬するのであるが、この時のユニは、ひかるたちに完全に心を許していたということである。それだからこそ、以前の自分のような立場のアイワーンに同情することができたのである。

孤独の殻

それまでのユニは結局、ひかるたちと楽しくやれるところまで来たが、やはりレインボー星の人々に対する負い目もしくはレインボー星復活のための気負いがあったのであろう。しかし、この第38話で、レインボー星を石化に導いた憎むべきアイワーンが、ユニと同様の孤独な人物で、もがき苦しんでいたことを理解した。これにより、出来事を主観のみでなく客観視によっても想像できるようになった。

トゥインクルイマジネーションの覚醒

自分の心だけでなく相手の心も理解する想像力。たとえ相手が憎むべき相手であっても、相手の立場を理解して想像することができる力、これがトゥインクルイマジネーションの正体であるっぽい。これは、イマジネーションつまり想像、想像力という語とも一致する。

マオとは誰か

バケニャーンにバケニャーンという実在のモデルがいたことから、宇宙アイドルマオにもモデルがいる可能性がある。一方、怪盗ブルーキャットは、その防止とサングラスを取った姿がひかる達と過ごす姿と類似しているので、こちらはオリジナルの可能性はある。しかし、バケニャーンの姿でノットレイダー内で活動していたことから、ひかる達と過ごしている姿も誰かをモデルにした変装で、ユニはひかる達にも本心を明かしていないことになる。このあたり、ちょっと深刻になるのでさらに描かれるか否かは分からない。そもそも本来のレインボー星人としてのユニと、ひかる達と行動しているユニの姿とでは、テレビ放映的には後者の方が映えるということが大きいというだけの理由かもしれない。