アニメ成分補完計画

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ヒープリ】「お大事に」の残酷さ


これまでのプリキュアでは、敵幹部は浄化されるとプリキュアの味方になったりしていた。プリキュア世界では、敵のモンスターが街を破壊しても、モンスターを浄化すれば、街も元に戻ったりした。そこに論理性は乏しいけれど、そのような世界であった。しかし、「ヒーリングっど♥プリキュア」では、それが認められないようなのだ。これは、プリキュア世界における異常事態と言える。

行方不明の敵幹部

バテテモーダ、ネブソック、ケダリー。この3人?は、プリキュアによる浄化後、その消息がつかめない(少なくともその後どうなったかの描写が全くない)。これ、プリキュア世界では本当にあり得ないこと。

3人の特殊性

モンスターを出現させるにあたって、この3人以外は、エレメントさんを元にしていた。この場合、プリキュアによる浄化後は、モンスターに取り込まれていたエレメントさんが健康体に戻り、めでたしめでたしとなっていた。しかし、上記3人はそうならず、行方不明のままなのである。

「お大事に」の意味

プリキュアが、モンスターを倒すと、最後の決めゼリフ「お大事に」と言う。しかし、これ、エレメントさんが救出された際は、当てはまるが、バテテモーダ、ネブソック、ケダリーの3人はの場合は、当てはまらないのではないか。エレメントさんの場合、「お大事に」の後に、エレメントさんと会話するシーンがあり、要はエレメントさんが健康体に戻っていることを確認するプロセスが置かれている。要は診療ということ。しかし、敵幹部の3人にはそれがない。それどころか再三書くように、消息事態不明である。

治療がテーマのプリキュア

このプリキュアの目的を考えると、地球のお手当である。エレメントさんは地球を構成する、まさに「要素」(エレメント)であるので、プリキュアは救おうとする。しかし、バテテモーダ、ネブソック、ケダリーらは、エレメントではない。地球を穢そうとする側である。よって、たとえ人間のような姿形をしていようとも、プリキュアは、彼らを病原菌と同等とみなし、徹底的に消去していると考えることができる。少々恐ろしいが。

ケダリーに対する残酷さ

f:id:cure_researcher:20201012120707j:image

特に、ケダリーの扱いは別格である。悪い方向に。ケダリーは、主人公花寺のどかがキュアグレースに変身時に、ダルイゼンによってメガパーツを体内に埋め込まれたために生まれたテラビョーゲン。外見は、ダルイゼンを幼くした感じで、言葉も流暢ではなく幼い印象。外見にはもう1つ特徴があり、左眼周囲に緑色の四つ葉の模様がある。これは、ダルイゼンのピアスのデザインでもありキュアグレースの髪留めのデザインでもあるもの。ダルイゼンがキュアグレースの体内にケダリーのベースとなるものを入れ、キュアグレースは、それを育み、産み落とした。これは妊娠表現としか言えない。しかも、そもそもダルイゼンは、のどかの最初の病気によって生まれたというとんでも事実まで発覚。なんというか、これ、同人誌ネタを本家がやっちゃうみたいなことになっている。あかんね。それにも関わらず、プリキュアは、ケダリーをあっさり浄化する。ケダリーは、「ボク 消える…」と言いながら消えていく。これで涙しないなだありえない描写が入っている。

実体は生物起源ではない

まあとにかく、実体はあくまでメガパーツであり、バテテモーダやネブソックのような本来命を持った者からのモンスター化とは異なる。しかし、外見がバテテモーダらと異なり、かなり人に近い。それをなんの迷いもなく消し去り、「お大事に」という、消しちゃった者には何の意味もない言葉をかけて、あとは振り返ることさえしないヒープリの面々は、これまでのプリキュアシリーズから見るとかなり異質なものを感じる。

最後の良心

ただし、この一連の戦闘において、どうもキュアアースのみが、少なくとも積極的戦闘を行なってはいないようなのだ。これまでの回で、好きやら何やら色々学んできたキュアアースことアスミ。彼女の学んできたことを、他の3人にぶつけることを期待したい。