えみるがプリキュアの初期メンバーであるはなたちやルールーと関係を持つ以前から所有し、えみるのアイデンティティともなる赤いギター。これにはかなりのこだわりがあることが分かった。
初出は第15話予告
えみるのギター、初出は第15話予告。この予告だけで既にえみるのこだわりが分かる。
まず、えみるが愛用するギターはオリジナルではなく、FERNANDES製の市販のギターである。
このギターの特徴は、スピーカー内蔵(ボディの丸の部分)で、これ一本で、音を出せるエレキギターであること、および小型であることである。この2つは、小学生が兄に隠れて弾くにはぴったりの特徴である。
こだわりの改造
しかし、えみるはこれをそのままでは弾いていない。
①スピーカーカバーとボリュームノブ
スピーカーカバーの色が、市販モデルでは黒であるところ、赤にペイントされていること。また、下部にあるボリュームノブの色が赤から銀に変更されていること。これは、第15話エンドカードで、よりはっきり分かる。
②ピックアップ
また、ピックアップ(黒い四角の部分)が、黒いカバーが掛けられたものに変更されていることが分かる。しかし、第18話でのピックアップをみると、当初は銀色の丸が6個ついていたが、第18話ではこれがなくなっており、さらに変更されていることがわかる。ギターのピックアップとしては、どちらも実在する形である。しかし敢えて変更したのは、えみるの音楽的嗜好ではなく、大人の事情なのかなと推測する。ZOー3を販売するFERNANDESでは銀色の丸がついていないタイプは販売しているが、ついていないタイプのピックアップは販売していないことによる修正…の可能性があると思われる。つまり、ピックアップの再乗せ替えにより、えみるはZOー3ギターの製作会社であるFERNANDES社が販売するEMGピックアップを選んだのだと思われる。
③ストラップピンの位置
えみるはギターをさらに改造していて、ZOー3の場合、ストラップ(肩ベルト)は、図7のギターヘッド(先端部分)の黒丸部分に本来留めるのであるが、えみるがストラップをつけてギターを構えるシーンを見ると、ストラップの流れ方から、ギターのボディ部分で留めているようにみえる。
第18話では、これがよりハッキリ分かり、明らかにネック(指で押さえる長い部分)の根元付近に留められている。ZOー3が、小型ボディとはいえ、肩幅が小さい小学生のえみるにはヘッド側にストラップを留めるのはバランス的に良くないのだろう。
以上、えみるは、フェルナンデス ZOー3に対し、次のような変更を施している。
改造点まとめ
スピーカーカバー : 黒色から赤色へ
ボリュームノブ : 赤色から銀色へ
ピックアップ : オープンからクローズドへ
ストラップピン : ヘッド側からボディ側へ
もはや、ZOー3であってZOー3でないレベル。自分好みのカスタマイズは素晴らしすぎる。しかし、小学生なのだから、いくら実家が裕福だからといって、改造しすぎである。しかも、アニメの作画レベルで分かるのがこれだけだから、ネック(指で押さえる部分)の材質を変える等、もっと色々手を加えている可能性が高い。
お約束に反し、なぜか破壊されたえみるのギター
しかし、このようにこだわりの手を加えられたギターも、第21話で、戦闘中に敵の攻撃からルールーを守るために破壊されてしまう。ここから色々あって、ルールーがえみるに自作ギターを贈るのだが、これについては、ルールー製作のギターで見る。いま考えたいのは、なぜ破壊されたのかその理由である。プリキュア世界では、敵に破壊された建造物を含めたモノは、敵を浄化すれば全て元に戻る。これはハグプリでも継承されている。本来、破壊されたモノは全て元に戻るのである。しかしえみるの愛用ギターは破壊されたままであった。これはどう解釈すればよいのだろうか。このギターは元々えみるの私物であり、市販品である。つまり入手経路からしてクライアス社やプリキュアとは縁もゆかりも無い品である。これがオシマイダー浄化後も破壊されたままというのは、何らかの力が働いたと考えるしかない。クライアス社側としては、特にこのギターを意識していた描写はない。このギターへのえみるの愛着を知っていたのはどちらかというとプリキュア側である。そして、破壊したものが元に戻るというプリキュア伝統の法則を破るほどの力を持つものは限られている。それが出来るのはただ1人、謎の力を有するはぐたんのみである。はぐたんがなぜこんなことをしたのだろうか。これまでほまれの変身失敗や、はなにプリキュアもうできないと言わせたり、たこ焼きの法被を着せたりといった、敢えて試練を与えているような過去があるので、これは、えみるとルールーへの試練として利用しようとしたのであろう。はぐたんは、なかなかの策士でとても赤ちゃんとは思えない老獪さを感じる。