プリキュアを読む

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【ハグプリ】"野乃はな"という名前について


ハグプリの主人公、キュアエールに変身するのは、野乃はな中学二年生である。彼女の名前のみに着目してもプリキュア15周年にふさわしい素朴さと華やかさを持っている。

はなの名前は歴代最短文字数

この"野乃はな"という名前、実は歴代プリキュア最短の4文字である。これまで、苗字だけ、下の名前だけ2文字のプリキュアはいた(*)が、苗字・名前共に2文字というプリキュアは、いなかった。
*:美翔舞、桃園ラブ、月影ゆり、日野あかね、相田マナ、白雪ひめ、紅城トワ、十六夜リコ。
意識して短い名前にしたのか否かは不明だが、ハグプリの他のプリキュアになった者たちの名前が、光堕ち組のルールーを除き、薬師寺さあや、輝木ほまれ、愛崎えみると、苗字4文字、名前3文字の計7文字と統一されている中(ルールー・アムールだけ4文字、4文字。まあ(元々敵だからなぁ)、何か意図がありそうな気はする。3人(ルールー入れると4人)とも苗字だけではなの氏名と同じだけ文字数使っているのは、やはり意図的と考えた方が良いと思う。ルールーにしても、苗字4文字、名前4文字というのは、はなの、苗字2文字、名前2文字対比、苗字も名前も2倍となっている。ルールーの前髪と、キュアエールの前髪の対比(ルールーは、V字型、エールはΛ字型)もあり、これはこれで何か意味があるのかもしれない。

ルールーの名前は歴代2位の長さ

ちなみに、ルールー・アムールは、8文字で、多いことは多いが、プリキュア史上最多文字数は、ハートキャッチの明堂院いつき(みょうどういんいつき)の10文字。ルールーは、8文字で2位。ただし8文字は、北条響(ほうじょうひびき)他何人かいる。"・"も1文字と数えれば、9文字で単独2位となる。

野に咲く花

さて、"野乃はな"という名前であるが、これは"野に咲く花"という意味を持たせて付けていることは間違いない。そのイメージとしては、売り物の切り花の様な華やかさではなく、どちらかというと自己主張は少なく、ひっそりと咲くイメージである。この野の花のイメージは、野乃はなのイメージに通ずる。プリキュア5の夢原のぞみであれば、多少強引に進めてしまいそうなところも、はなは、注意深く考え、他者に配慮して進める印象がある。例えば、ほまれがプリキュアになれなかった第4話において、声掛けをためらったりとか。そのような場面に遭遇すると、過去イジメにあった経験が影響していると思われる。第10話で、変身できなくなったはなに代わりはぐたんが持てる力でオシマイダーを撃退した後、はぐたんが意識を失った際、次の第11話で、プリキュアもうできない、他にふさわしい子がいると自分を責めたのも、他者の配慮が行き過ぎた結果と思われる。

野に咲く花の美しさを認めること

また、ルールー歓迎会で、ルールーが挨拶は初日に済ませたはずだと言い放った際、それでもルールーに寄り添って、自分ががサプライズパーティーを企画したと責任が自分にあることを言った上で、ごめんねと言ったのも、はなである。ルールーが退出し場に悪い空気が流れた際、今度は残された参加者に、手巻きの材料でちらし寿司作ってお土産にしようと明るく提案するのもはなである。
はなは全方位に気配りができるのである。
夢原のぞみの何も考えてない感じや、星空みゆきの能天気さといった天性の明るさとは異なり、野乃はなの明るさは、他者のみならず、自分さえも鼓舞して生み出している明るさである(何度もそのような描写がある)。第24話プール回では、自らを鼓舞するため、はなは強いて笑顔を作る。

人を和やかに、爽やかにするはなの中に野の花の美しさを見ることができた者だけが、はなの周りに集まることを許される。というか、そういうものたちが自ら集まろうとする。そういう魅力がはなにはある。

"花野"という季語

また、俳句には"花野"という秋の季語がある。
これは、野に無数の草花が咲き乱れている様子を表す。草花なので、1つ1つは、取り立てて見るべきものはない。そしてこれがはなの自己評価である"自分には何もない"につながる。しかし、花野は全体として見ると美しさを感じるものである。そのようなイメージは、これも、はなのイメージと重なる。

他者を引きつけるはなの魅力

はなには、本人も認める通り取り立てて才能らしいものは見当たらない。しかし、さあや、ほまれ、ルールーの3人は、はなの魅力に引き寄せられるように集まって来た。えみるは少し特殊だが、ハイキング回の初登場時から、はなと絡み、中身がはなとは知らず、キュアエールに憧れるという惚れっぷり。しかし、えみるには、「おい、お前が憧れてんの、お前が見下してるはなだぞ!」と言いたい。
そして、はぐたん。はぐたんがいなければ、ハグプリという物語は始まらない。そのはぐたんが第1話で、上空から、まっしぐらに目指したのが、はなその人である。
薔薇の花でも、桜の花でもない、取り立てて華やかなものはないにも関わらず、皆が引き寄せられる。それが"野乃はな"という名前を持つ人間なのである。