プリキュアを読む

感想やまとめとは違う分析的なもの

【ハグプリ】ルールーとえみるの友情の限界とその越え方


えみるはルールーにそもそも心がないことを知った後に心を教えようとしたのではなく、知る前も後も心を持っているヒトと全く同じように、いやそれ以上にアンドロイドであるルールーに心から接して来た。一方、さあやは心があるとはどういうことかを理論的にルールーに教えた。この2人の絶妙な分業により、アンドロイドであるルールーは、そのAIに心とは何かの経験値を蓄積していくことができ、心を獲得した。これを詳しくみてみよう。

さあやの与えたものとえみるの与えたもの

さあやが与えたのは、心を持った判断を行うことのロジックについてのヒントである。一方のえみるが与えたのは心を持った状態の人の言動とはどのようなものかなデータである。ルールーは、さあやの教えてくれた判断ロジックのヒントを元に、えみるが与えてくれる大量の心を伴う言動を受け止めるうちに、実例を入力データとして蓄積されていくに従い判断ロジックが育ち、結果として心を獲得したといえる状態に至る。

えみるとルールーがいつも一緒にいることの弊害

ルールーは、四六時中えみるといるわけではないので、心を持った人の言動データは、もちろんえみる以外からも得ることができる。しかし、やはりエミルといる時間が圧倒的に長いはずであり、そうなるとどうなるかを考えないといけない。入力データが圧倒的にえみるからのものばかりになると、ルールーのAIに過学習が起こり、ルールーの心の持ち方およびそれに基づき行われる言動が、えみるそっくりになっていく危険性がある。
現に、22話予告においてルールーが、

『ノリノリアゲアゲでいきましょう、アーユーレディ?』
©ABC-A・東映アニメーション

と言っている。このセリフは、えみるが言ったとしても全く違和感ない。というか、「アーユーレディ?」は、必殺技ツインラブロックビートを放つ時のえみるのセリフである。ルールーはAIなので、親友の口癖を覚えて使ったということである。これは、ルールーはAIとしては正常な反応をしているのだけれど、えみるにとって、これはどう感じるのだろうか。えみるは、親友であるルールーといればいるほど、ルールーが自分そっくりの思考になっていくのを目の当たりにするのである。えみるは今後これについていけるのだろうか。ここにえみるとルールーの未来における懸念がある。

ルールーの限界

このような行動になってしまうのは、AIを搭載しているルールーの限界であり、ルールー自身ではおそらく解決策を見つけられないのではないだろうか。ただし、リスクマネジメント能力が高く、人の感情の機微を察するに敏感なえみるのことなので、おそらくこのルールーの限界に早晩気づく。その時にえみるはどうすべきなのだろうか。最悪のシナリオは、ルールーを避けるようになることであるが、保健室のシーンでルールーはアンドロイドであるという正体を知った時も、驚きはしたが即座にこれからは隠し事はなしにしろと伝えているくらいの人物なので、えみるはルールーを見捨てることはないと考えられる。えみるの精神力どんだけ強いんだよという話なのだが。

えみるの取るであろう行動

えみるは、代わりに得意のリスクマネジメント能力を使って、ルールーの言動が自分と全く同じにならないようなリスクヘッジを行うと思われる。たとえば、既にルールーは、心というものを理解し、その厚みを増して来ている段階と思われるので、心を客観視できていると考えられる。つまりこれからは、心を育成するには実体験でなければならないということはなく、小説、ドラマ等からも心を得ることができる状態にルールーが至っていると考えられる。もちろん見るものを選ばないと危険であるが。このように多角的に感情をインプットすれば、心の成長のためのインプットがえみるに偏ることもないので、ルールーの思考がえみると同じになってしまうというリスクを回避できると思われる。この程度のことであれば、えみるは容易に手を打ってくると思われる。

おわりに

えみるはリスクマネジメント専門家というのが初登場時にしつこくアピールされていた。これは、ルールーとともに精神的に成長していく際に一番必要となる能力であり、これが故に、えみるはルールーとずっと一緒にいられるのである(ただし肉体的には全く成長・老化しないルールーとどう折り合いをつけるかという別の問題がえみるにはある)。