取って付けたようにネメシスという女神を持ち出してきたのであるが、この女神、時の流れという天が与えたものを止めようという大それたことを実行しようとするクライアス社に対する戒め役としてぴったりであり、まあ流石にこれは、制作側の設定として予め考えられたものではなく、たまたま似通っているという無理筋な読みだとは思うが、なかなか一致する事項があって興味深い。
ネメシスとは
ネメシスは、人の神をも恐れぬ行為に対し神からの罰を与えるというギリシャ神話の女神である。あまり馴染みのない女神であるが、自らの美しさに溺れ、神を恐れぬナルキッソスに自分しか愛せないような罰を与えたのが彼女である。
ハグプリにおけるマザー
ハグプリはお仕事と並んで子育てがテーマとされてきた。そして登場した女神がマザーである。第20話「キュアマシェリとキュアアムール!フレフレ!愛のプリキュア!」でえみるとルールーがプリキュアになる時と、第39話「明日のために…!みんなでトゥモロー!」ではリストルに対峙したプリキュアが新技マザーハートを出す際に登場している。
マザー登場場面におけるネメシス的挙動
えみるとルールーがプリキュアになる際には罰を与えるのではなく願いを叶えるもしくは、プリキュアとして認める行為なので、ネメシス的な行為ではない。一方、ハグプリの新技であるマザーハート時の登場はネメシス的な罰する役割を担っているように思われる。ただし、プリキュアの技は基本的には罰ではない。癒す行為である。そもそも技の名前がマザーハートつまり母の愛であるから。ただし、母の愛は甘やかすことではない。その観点からは、厳しく叱り罰を与えることも母の愛に含むことと考えられるのでネメシス的であると言える。
なぜネメシスにこだわるのか
取ってつけたようにマザーがネメシスと関係があるのではないかとの考えを出してきた理由は、ネメシスは、神に対する人間の分をわきまえない態度に罰を与える女神という点が、クライアス社の時間を止めるという宇宙の摂理に反した行為に対し罰を与える立場にあるという共通点だけでなく、翼という共通点があるからである。ただし、マザーには今の所はっきりと視認できる翼はない。ではなぜ翼に着目するかというと、それはキュアエールの名前にある。ハグプリは、アンジュ、エトワール、マシェリ、アムールどれもフランス語である。ただし、エールだけ英語のyellと綴るのが公式である。しかし、エールという音の語には、フランス語ではaileがあり、これは翼という意味である。ハグプリでは、主に第1クールで、演技するさあややスケートをするほまれに対し、集中して充実した演技ができた時に翼を付ける表現がなされている。これは主人公のキュアエールこと野乃はなには未だ現れない現象である。翼という名を持つキュアエールには翼がなく、翼をもつ女神ネメシスと類似していると思われるマザーにも翼がないのは偶然ではない可能性があり、ここに物語上の重要な鍵が隠されているのではと考えられる。ラスト近くで満を持してキュアエールもしくは野乃はなに翼が現れる姿が見られるのではないだろうか。その際は、マザーにも翼が現れると思われる。故に、マザーがネメシスではないかと考えるのである。
キュアエールとマザーの共通点
他のハグプリたちのネーミングがフランス語であることにならうと、翼を意味するキュアエールに翼がなく、有翼の女神ネメシスをなぞっていると思われるマザーにも翼がない。これは偶然の一致であろうか。もう1つ、はぐたんは一貫して野乃はなのことをママと呼んでいるが、今回、クライアス社のプレジデント・クライもリストルも女神をマザーと呼んでいる。ママもマザーもどちらも母親という意味だ。つまり、同時存在しているので別人格であると思われるが、野乃はなすなわちキュアエールとマザーは似過ぎており、何らかの接点があると思われる。
さすが第4クール
さすがに第4クールである。マザーやキュアクリスタル・ホワイトを有するプリキュアの姿もかなり露わになってきた。これまでの伏線やフラグの回収が本格化したと考えられる。いまだ女神については分からないことが多いが、そもそもプリキュアでは、あの手の女神は余り説明がなされないまま終わることもあるので、今回もそれほど掘り下げられることはないと思う。