プリキュアを読む

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【ハグプリ】ルールー製作のギター〜特筆すべき点と限界


ルールーが自らのAIと機械的正確さをもってえみるのために作製した二本のギターについてみてみる。

破壊されたえみる愛用ギター

えみる愛用のギターは、市販品であるフェルナンデス社製ZOー3モデルに手を加えたこだわりのギターであるが、第21話において、オシマイダーの攻撃を受けた際、えみるが、このギターには目もくれずルールーを守ることを選択したため、破壊されてしまう。しかし、何ヶ所も自分の好みに合わせて弾きやすいようカスタマイズしたギターである。えみるが落胆しないわけがない…なのにルールーのことを思いえみるは気丈にふるまう。まさに愛のプリキュアである。

えみるの落胆とルールーの回答

そして、その思いに応えるべきルールーからの回答が、ルールーお手製のギターを作ることである。ZOー3のシェイプから、うまく"愛"絡みのシェイプに持ってきたハート型ギター。ルールーは、これを2本作り、ちゃっかり一本を自分用とする。これは、このギターを弾く時には、もう1つを所有する自分を思い出せと言うメッセージとも思える。このアンドロイド、かなり複雑な愛情を理解して来ているぞ。

というわけで、ルールーはアンドロイドだから、手作りと言えないかもしれないが、愛のこもったギターである。

2つのギターの相違点

①アームの追加

これ、ZOー3にはなかったアーム(音にビブラートかけるための金属の棒)が付いている。
えみるの好みの演奏には、アームがあった方が良いとルールーは思ったのだろう。確かにえみるが初めてルールーにギターを披露した時も、ハリーやはなたちに披露した時も、メタル系の音であった。メタル系の曲をやるのならば、アームが付いていると、一般的には音楽の幅が広がる。しかし、えみるのZOー3にはアームが付いていなかった。一方で、ZOー3には、アーム付きのラインアップ"芸達者"シリーズがある。確かにボディが赤の芸達者は、現在のカタログにはないが、えみるのことなので、アームが欲しければ、芸達者シリーズをリペイントして赤にしたはずである。もしくは無印ZOー3のブリッジを交換してアームをつけたはずである。つまり、えみるはアームを意図的に不要としていた可能性がある。えみるがわざわざ無印のZOー3に施した、スピーカーカバーの色変更や銀色ボリュームノブへの変更は、芸達者の標準仕様であり、アームが必要ならば、最初から芸達者を選んだと思われる。つまり、アームを選ばなかったのは、自分には不要と考えていたからである。これは、ルールーは音楽というものを理解するところまでは、学習したが、演奏者のこだわり(簡単に演奏できることを敢えて難しいやり方でチャレンジする等)の部分にはまだ到達していないことを表現しているのではないだろうか。これを言う場合、では、アームを使わずにトリッキーなメタル系の音楽ができるのかという話になるが、現に、ジェイク E リーという、アームの付いていないギターを使用してアームが付いているかのような音色を出すハードロック/ヘヴィメタルのギタリストもいるので、えみるがこの点にこだわっている可能性はある。ジェイク E リーは、そもそも、通常はアームが付いているストラトタイプの形状のギターから敢えてアームを外しているというこだわりの男(≒変わり者)であり、まあ、えみるもこだわりの小学生(≒変わり者)だから同じ思考なのかもしれない。

②ピックアップの変更(音色の最適化)

あと、ルールーのギターは、ピックアップ(弦の音を電気的に拾う装置)がシングルコイル×3(ZOー3搭載のピックアップはシングルを2つ組み合わせたような形状でハムバッカーと呼ばれ、分類上シングルコイルと異なるもので、ZOー3に搭載されている)で、リア(ネックから見て一番後ろ側)がスラントマウント(ネックに対し垂直でなく斜めに取り付けられている)になっている。これは、ストラトキャスタータイプのギターの標準的配置である。視覚的理由からか、ネック側のピックアップがかなりネックに近づけられているためわかりづらいが、確かに3本のピックアップが認められ、リアが斜めになっている。
手と体が小さいことによる理由からか、ネックがボディの深いところまで刺さっていて、ボディ側の端が、押さえづらくなっているが、これは仕方ない。また、この押さえづらさにより、実質的に使われないとルールーのAIが判断したからと思われるが、通常ならヘッドから15、17、19、21番目の場所にあるポジションマーク(押さえる場所を示す印。銀色の小丸)のうち、21番目が付けられていない。

③トーンノブの追加(音色の最適化)

また、ボリュームノブに加えて、ZOー3には無いトーンノブが2個付いている。このことからも、ルールーのギターは、ストラトタイプの影響を受けていることがわかる。というより、ここまでストラトにするのかと、細かすぎである。得意のAIを用いて、えみるの弾く音色から、何らかの方法で画像検索し、形状や仕様を決定したと思われる。元々のえみるのZOー3は、市販品をカスタマイズしたものである一方、ルールー製作のギターは、えみるの好みのトーンや形状、色を考慮したえみるのためだけのカスタムメイドであるということを、ルールーの口から言わせるのではなく、徹底したストラトに寄せた仕様とすることによる、AIによる本気データ処理を見せることで伝えてくれた。

④ブリッジカバーの追加

1つ興味深いことは、今はつけて演奏する人がほとんどいないブリッジカバー(アームの上の台形の金属部品)が付いていること。これは、メタル弾きのえみるには不要で外してしまうだろう。これについては、ルールーのAIが、どういう選択で付けてきたのか不明。

アンドロイドルールーの"人間味"

以上、おそらくこのギターを製作するにあたっては、ルールーは自分の持てるAI能力の全てを投入したと思われる。しかし、このルールーの本気を以ってしても、アームをつけてしまったということは、惜しいというよりも、そこがルールーの"人間味"と考えるべきなのだろう。出そうとしている音色とモデルの特性に基づくトーンの最適化までは数値解析で可能でも、さすがに"個人のこだわり"までは、これまで収集したデータからは分からなかったのは仕方ないといえる。